大腸(約1.6メートル)は盲腸、結腸、直腸からなるが、その大部分(約1.5メートル)を占めるのが結腸である。結腸は腹腔(ふくくう)を額縁のように走るので、その走行方向に従って上行結腸、横行結腸、下行結腸、およびS状結腸に区分される。
(1)上行結腸 盲腸上端から始まり、右側の腹腔後壁を上行し、肝臓右葉の下面まで達して左方へとほぼ直角に屈曲する(右(みぎ)結腸曲)。上行結腸の前面と側面は腹膜に覆われていて、後面は結合組織を介して後腹壁筋に接着している。長さは約14~15センチメートルである。
(2)横行結腸 結腸中では最長で、可動性にも富んでいる。右結腸曲から左方へと十二指腸の前方を横走し、脾臓(ひぞう)下端で急に屈曲(左結腸曲)し、下行結腸に移る。直立すると中央部がかなり弓状に下垂する。これは、長い横行結腸間膜によって後壁からつり下げられた状態にあるためで、内腔が充満すると骨盤腔まで下垂する。横行結腸は、ほぼ全周が腹膜に包まれ、後側でこの腹膜があわさって広い横行結腸間膜となり、膵臓(すいぞう)下縁に付着する。横行結腸の長さは約40~50センチメートルである。
(3)下行結腸 左結腸曲から左側後腹壁を下行し、骨盤の腸骨窩(か)まで達する。長さは約25~30センチメートルとされるが、個体差も著しい。上行結腸と同様に前面と両側面が腹膜で覆われ、後面は左腎臓(じんぞう)の下外側縁や腰部の筋に接している。下行結腸は上行結腸よりも細く、深部にある。
(4)S状結腸 約40センチメートルの長さで骨盤内に位置しているが、位置の異動が大きい。これは、長くて広いS状結腸間膜によって後腹壁に付着しているためである。S状結腸は骨盤上口の腸骨稜(ちょうこつりょう)の高さから始まり、正中線に向かってS字状に屈曲し、第3仙椎(せんつい)の高さで下行し、直腸へと続く。なお、S状結腸は完全に腹膜に包まれて、後面のS状結腸間膜に移行している。
結腸には特有のヒダ(襞)や凹凸があり、肉眼的にも容易に小腸と区別できる。その一つは結腸ヒモ(紐)で、これは結腸の外層の縦走筋が3か所に集束しているために、筋束が表面に隆起し、帯状にみえる。結腸ヒモは、互いにほぼ等間隔の位置で縦走するが、前壁の大網(たいもう)ヒモ、後壁の間膜ヒモ、および自由ヒモの区別がある。大網ヒモは盲腸の虫垂の位置につながるので、虫垂を捜すときに目標となる。これらの結腸ヒモが縦方向に収縮すると、結腸内腔面に輪状に走る半月状のヒダが形成され、半月ヒダの間は外部に向かって結腸が膨隆し、結腸隆起をつくる。
結腸の組織構造は小腸と似ているが、内面の粘膜が平滑で絨毛(じゅうもう)を欠き、粘液を分泌する杯(さかずき)細胞が、とくに下方ほど多く分布している点で異なる。結腸は、ときに異常に拡張し、巨大結腸症をおこす。先天性巨大結腸症はヒルシュスプルングHirschsprung病という。
[嶋井和世]
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出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…小腸の終りから肛門までの腸の部分を大腸という。その最初の部分は袋状の盲腸で,結腸,直腸とつづく。大腸は哺乳類で最も発達し,とくに草食性のものでは大型で複雑な走行を示し,粘膜にひだや突起などの構造物が多い。…
…この機能に関連して吸収面の増大をはかるため小腸は長く,それに応じて著しい屈曲を示し,またその内面には皺襞(しゆうへき),皺襞の表面には絨毛が発達し,その表面積はひじょうに大きなものとなっている。次に大腸は盲腸,結腸,直腸に大別される。盲腸は草食の哺乳類では長大でよく発達しているが,ヒトでは数cmの長さにすぎず,また盲腸の末端には虫垂が付着する。…
※「結腸」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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