ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「スロベニア文学」の意味・わかりやすい解説
スロベニア文学
スロベニアぶんがく
Slovene literature
20世紀初期にモダニズム運動が起り,精力的な詩人 O.ジュパンチッチや,名文家で知られた I.ツァンカルによってスロベニア文学は再び開花した。第1次世界大戦後の印象派の代表的な詩人 T.シェリシュカルや M.ヤルツ,A.ボードニクらの作品や,S.グルームの戯曲には,当時の世相を反映して,社会的,精神的な緊張が色濃く表われていた。 1930年代には社会主義リアリズムが登場し,農民や労働者の生活を描いた短編や長編の小説が発達した。また E.コツベックはより自由な詩によって現実の魔術的解釈を示した。第2次世界大戦中から戦後を通してリアリズム文学は存続したが,作品の扱うテーマはより深く掘下げられ,間口も広がった。このことは詩人で劇作家の M.ボールや,散文作家で劇作家の I.ポトルチ,M.ミヘリッチの作品に明らかである。のちには西ヨーロッパの影響を受けて,SF作家も登場した。詩では深い内省的な表現が維持され,なかでも J.ウドビッチが代表的な詩人である。韻文のこのような傾向は,V.タウフェル,V.ツゥンドリッチ,D.ザイツら,次世代の詩人たちに引継がれた。
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