ジュパンチッチ(読み)じゅぱんちっち(英語表記)Oton Župančič

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ジュパンチッチ」の意味・わかりやすい解説

ジュパンチッチ
Župančić, Oton

[生]1878.1.23. ビニツァ
[没]1949.6.11. リュブリャナ
スロベニア詩人。ウィーン大学で歴史と地理学を学び,一時パリにも留学。スロベニアが新しく成立したユーゴスラビア国の一部となった際に,リュブリャナの国民劇場の支配人となり,1938年にスロベニア科学芸術アカデミーの一員に選出された。すでに中学時代から詩作を始め,近代主義派の詩人として文壇に認められた。『陶酔の一椀』 Čaša opojnosti (1899) ,『平原を越えて』 Čez plan (1904) ,『雪の下の日日草』 Zimzelen pod snegom (45) などの詩集があり,第2次世界大戦中は抗独レジスタンスの精神的支柱として,その詩はパルチザンに愛唱された。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ジュパンチッチ」の意味・わかりやすい解説

ジュパンチッチ
じゅぱんちっち
Oton Župančič
(1878―1949)

スロベニアの詩人。ウィーン大学卒業後リュブリャナで一時教職につくが、文学修業のためヨーロッパ遍歴の旅に出る。西欧シンボリズムの影響を受け、芳醇(ほうじゅん)な叙情性と高度に洗練された詩語をもつ独自の詩境を開拓し、散文ツァンカルとともに現代文学の旗手として、スロベニア詩とスロベニア文章語の発達に貢献した。処女詩集『陶酔の杯(さかずき)』(1899)はデカダンス的傾向をもつ。『野を越えて』(1904)はみずみずしい生命力、大地と民衆への信頼が律動する詩集。最後の詩集『雪の下の常磐木(ときわぎ)』(1945)は戦争の惨禍に対する憤怒、苦悩、悲嘆を歌う。

[栗原成郎]

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