タニワタリノキ(読み)たにわたりのき

日本大百科全書(ニッポニカ) 「タニワタリノキ」の意味・わかりやすい解説

タニワタリノキ
たにわたりのき / 谷渡木
[学] Adina pilulifera (Lam.) Franch. ex Drake

アカネ科(APG分類:アカネ科)の常緑高木。高さ6~8メートル。葉は披針(ひしん)形で長さ6~9センチメートル、托葉(たくよう)は4枚あり、披針形で早く落ちる。夏から秋、長い柄の先に小さな淡黄色花を多数球状につける。花冠は筒状漏斗(ろうと)形で、長さ0.4センチメートル、花柱は花冠より長く突き出て、柱頭は頭状。子房下位で2室、各室に3、4個の胚珠(はいしゅ)がある。九州南部、屋久島(やくしま)および済州島、中国大陸南部、ベトナムに分布する。名は、谷間に好んで生えることに由来する。中国では護岸のため堤防に植え、材は彫刻に用いる。タニワタリノキ属は、ほかに中国に1種、タイに1種知られている。

[福岡誠行 2021年5月21日]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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