改訂新版 世界大百科事典 「タンボフ」の意味・わかりやすい解説
タンボフ
Tambov
ロシア連邦,ヨーロッパ・ロシアの南西部,同名州の州都。モスクワの南東480km,ツナ川左岸の河港。人口28万7216(2004)。1636年,タタールの襲撃からモスクワを防衛するために築かれた要塞が起源。70年にはラージン軍が肉薄した。初期のタンボフ県知事の一人に詩人G.R.デルジャービンがいる。1830年コレラ一揆(コレラの流行に伴う民衆暴動)が発生した。19世紀末にモスクワ~サラトフ間の鉄道が当地を通り,穀物・家畜の交易で発展した。伝統的に農民運動が盛んで,1918年にソビエト権力が樹立されたが,20年8月,同市近郊のキルサーノフ郡カメンカ村でソビエト政府の食糧政策への反対を契機に,A.アントーノフを指導者とする農民反乱が発生。翌年夏まで農民は数万人規模のパルチザン闘争を行い,多数の死傷者を出した(アントーノフの反乱)。現在は市北部で機械・化学・食品加工業が発展している。
執筆者:高田 和夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報