改訂新版 世界大百科事典 「チューリンガーワルト」の意味・わかりやすい解説
チューリンガー・ワルト
Thüringer Wald
ドイツ中央部を北西から南東にのびる山脈。北西をウェーザー川支流のウェラ川に,南東をエルベ川支流のザーレ川に限られ,ウェーザー川水系,エルベ川水系,ライン・マイン川水系の分水界をなす。南東部はフランケン・ワルトに続いている。標高650~850mで,最高峰は中央部のベールベルクBeerberg(982m),次いでシュネーコップ(978m),インゼルスベルク(916m)。山稜線に沿ってドイツトウヒの林の中に古くからの道が通じ,林業が盛んに行われる。山中には粘板岩の採石場が多く,鉄鉱石も採掘されている。また,森林におおわれた山は古くから谷間に家内工業を発達させてきた。豊富な木材を利用した木製玩具などの木工細工,ガラス工業,陶磁器工業などがその中心で,山地西側のズールやゾンネベルクが集散地となっている。そのほか塩泉,鉱泉が多く,風景美にも恵まれ,山地とその縁辺にはフリードリヒローダ,オーバーホーフ,イルメナウなど多くの観光・保養地がある。
執筆者:武田 むつみ
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報