日本大百科全書(ニッポニカ) 「むつみ」の意味・わかりやすい解説
むつみ
山口県北東部、阿武郡(あぶぐん)にあった旧村名(むつみ村(そん))。現在は萩市(はぎし)東部を占める地域。阿武川の支流蔵目喜(ぞうめき)川の流域を占め、丘陵や台地からなる阿武高原の農山村。旧むつみ村は、1955年(昭和30)吉部(きべ)、高俣(たかまた)の2村が合併して成立。長く睦(むつ)み合う意の平仮名の村名となった。2005年(平成17)萩市と合併。国道315号が通じる。山間地であるが比較的農地に恵まれ、農家の経営耕地や水稲収穫量は県内でも高い水準にある。『和名抄(わみょうしょう)』の宅佐(たかさ)郷の地で早くから開けた。旧村時代に役場が置かれ、現在は萩市むつみ地域事務所のある吉部は近世萩(はぎ)藩奥阿武宰判勘場(さいばんかんば)(代官所)の所在地、また市場町として栄えた。米の生産調整による転作で野菜栽培が増えている。中国地方有数のダイコンの産地で、無角和牛飼育、ニジマスの養殖も盛ん。
[三浦 肇]
『『むつみ村史』(1985・むつみ村)』