改訂新版 世界大百科事典 「ティマイオス」の意味・わかりやすい解説
ティマイオス
Timaios
前4~前3世紀の古代ギリシアの歴史記述家。生没年不詳。シチリア島東部のタウロメニオン(現,タオルミナ)に生まれ,アテナイで活躍した。シチリア島史ならびに西地中海史,初期ローマ史をオリュンピア祝典暦という一つの年代構成の枠でとらえる包括的記述を完成した。その文体については修辞性が過度であることなどが,後世の歴史家ポリュビオスによって批判されているが,キケロなどローマの文人たちはティマイオスをローマ史の祖と仰いでいる。38巻をこえたというその労作も今は断片的に伝存するにすぎない。なお,プラトンの対話編《ティマイオス》に登場する人物ティマイオス(前5~前4世紀)は,南イタリア,ロクリス出身のピタゴラス学派の哲学者で,同名のまったく異人である。
執筆者:久保 正彰
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報