ドミノ(読み)どみの(英語表記)Fats Domino

デジタル大辞泉 「ドミノ」の意味・読み・例文・類語

ドミノ(domino)

西洋カルタの一種。零から六までのさいの目2個ずつをしるした28枚の小札を持ち、同じ目を並べ合わせて、早く手札を並べ終わった者が勝つ。
ドミノ現象」の略。「ドミノ辞任」「倒産ドミノ
仮装舞踏会用の、小仮面と組みになった頭布ずきん付きの長衣。

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精選版 日本国語大辞典 「ドミノ」の意味・読み・例文・類語

ドミノ

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] domino ) 表面に黒点をつけた二八枚の長方形の小札からなる、西洋カルタの一種。また、そのゲーム。各札には、0から6までの七つの目のうちの二つが彫られている。同じ目どうしの札を並べ合わせ、手中の札を早く並べ終わったものが勝となる。
    1. [初出の実例]「象棋や domino(ドミノ)のやうに、短時間に勝負の付くものと違って」(出典:青年(1910‐11)〈森鴎外〉一六)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ドミノ」の意味・わかりやすい解説

ドミノ(Fats Domino)
どみの
Fats Domino
(1928―2017)

アメリカのボーカリストピアニストニュー・オーリンズの黒人街で生まれる。第二次世界大戦後のニュー・オーリンズ・ミュージック、そしてロックン・ロールを彩(いろど)った。本名アントイン・ドミノAntoine Domino。

 ニュー・オーリンズは、アメリカの深南部(ディープ・サウス)にあって、ジャズを生んだ港湾都市として一般に知られているが、実際はカリブ海のキューバ音楽やハイチ音楽、ミシシッピ川を南下してきたブルースと、多様なアフリカ系音楽の集積地であった。ジャズの源流の一つには同地のパレード・ミュージック(パレードの第二列目で楽器を演奏し踊りながらついていく人々から生まれたリズムやビートのため、セカンド・ラインともよばれる)があるが、こういった即興的な器楽演奏やブルース、ラテン音楽などが日ごろから混ざり合っているのがニュー・オーリンズ・ミュージックの特色である。ドミノは、1955年から1963年にかけて35曲もヒット・チャートのトップ40にチャート・インさせ、ニュー・オーリンズ筆頭の人気者だった。彼の音楽の背景には、ニュー・オーリンズの混合音楽がもつ豊かさがあり、かつ彼のボーカルは柔らかくロマンチックなたたずまいを備えたものだった。

 ドミノは1949年に「ザ・ファット・マン」でデビューし、その後、安定してヒットを重ねた。そして1955年、白人のアイドル・シンガー、パット・ブーンPat Boone(1934― )がドミノのヒット曲「エイント・ザット・ア・シェイム」をカバーし、チャート1位にしたことがきっかけとなり、ファッツ・ドミノという名前も白人社会に知れわたる。以後彼は「ブルーベリー・ヒル」「ウォーキング・トゥ・ニュー・オーリンズ」「ブルー・マンデイ」「アイム・ウォーキング」と数々のヒットを放っていく。

 1950年代なかばからしばらくの時期、白人層が認知した新しいシンガーや歌は「ロックン・ロール」としてマーケットへ紹介された。たとえば、メンフィス一帯のブルースやカントリー・ミュージックに根ざしたエルビス・プレスリーも、ビジネスとしてはロックン・ロールであり、ニュー・オーリンズの音楽性を保ち続けるドミノも同じジャンルにいる一人として長く扱われた。それゆえに、ドミノの音楽監督であったデーブ・バーソロミューDave Bartholomew(1918―2019)や、ドミノと同様のスタンスにいたピアニスト、スマイリー・ルイスSmiley Lewis(1913―1966)、同じくプロフェッサー・ロングヘアーProfessor Longhair(1918―1980)といったニュー・オーリンズの黒人ミュージシャンとのつながりが見えにくくなってしまった感は否めない。

 1960年代以降、ヒットの数は減ったものの、アルバム『ライブ・イン・ラス・ベガス』(1973)ほか各地でのライブ盤をつぎつぎと発売するなど根強い人気を持続した。ロックン・ロール期のスターの多くがスキャンダルや麻薬問題などで表舞台から去っていったなかで、その後も続くドミノの揺るぎない評価は特筆すべきである。

[藤田 正 2019年7月19日]


ドミノ(遊び)
どみの
domino

ボーンboneという牌(パイ)を使用する遊び。賭(か)け事として行われることが多い。ボーンは、表面が象牙(ぞうげ)か骨材、裏面が黒い木でつくられ、表面に二組のダイスの目が刻んである長方形の牌28個で一組になっている。1800年ごろイタリアで考案された。ボーンは法衣を意味し、昔の僧が白衣の上に黒い頭巾(ずきん)の法衣を用いていたことから、この呼び名が一般になったといわれる。

 ドミノの遊び方にはいろいろあるが、普通の遊び方は、28個のボーンを参加者に一定数ずつ配り、まず六と六の目のあるボーンを台の中央に置き、順次に同じ目と目が並ぶように、または並んだ目と目の数の合計が七になるように、縦、横またはT字形に並べていき、自分のボーンを全部出し終わったときをドミノといい、勝ちとなる。現在はアメリカでもっとも盛んに行われ、会員制のクラブもあり、地方によってはスニフsunift(一杯の酒の意)とよんでいる。

[倉茂貞助]

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改訂新版 世界大百科事典 「ドミノ」の意味・わかりやすい解説

ドミノ
dominoes

牌(はい)を用いて行うゲーム。ドミノの歴史は比較的新しく,17世紀ごろ中国で発明され,18世紀の中ごろにヨーロッパに輸入されたのではないかといわれている。ゲームに使用する牌は,図1のようにダイス(さいころ)を二つつなぎ合わせた長方形をしていて,その牌(ドミノあるいはボーンなどという)の数は,ふつう全部で28個が1組である。たとえば5-6,6-5というように,同一の数字を組み合わせることはしない。白は数字のゼロをあらわす。6-6のように,同じ数同士がつながれている牌をダブルという。ドミノの名は,黒色の木でつくられていた初期の牌の裏面が,頭巾つきの黒い法衣(ドミノ)を思わせるところからきたともいわれる。ゲームのやり方は何種類もあり,変形が多すぎて代表的なゲームを決めにくいが,もっとも単純なドローゲームと呼ばれる2人ゲームを例にあげて説明する。牌を引き,その目の大小で先手を決める。ゲームの前に牌を全部伏せてよくかきまぜる。次にめいめいが7個ずつの牌をとり,自分の方に向けてテーブルに立てるか,相手にみえないように手の中に持つ。残りの牌はストックとしてそのままテーブルに置いておく。先手がまず手持ちの牌のなかから1個をテーブルの上に表向きに出す。相手はそのドミノの両側のどちらかの数字につながる自分の牌を出し,その数字につけて置く。つなぐことができる数字の牌が手の中にないときは,必要な牌が手に入るまでストックから引いてきて手の中に加えなければならない(ただしストックを全部とることはできず,2個だけは残すというルールが多い)。こうしてゲームを進めていき,先に手の中の牌を全部なくしたプレーヤーが勝ちである。このとき相手の手の中に残った牌の数字の合計点が勝者の得点となる。両者とも出せる牌がなくなったときは,手の中の数字の少ない方が勝ちである。
執筆者:



ドミノ
Fats Domino
生没年:1928-

アメリカの黒人歌手,ピアニスト,作曲家。ニューオーリンズ出身で,この町独特の南国的雰囲気をもったピアニストとしてクラブで働くうち,1949年に録音した《ファット・マンThe Fat Man》がヒット,にわかに有名になる。その後55-56年に《ブルー・マンデーBlue Monday》《ブルーベリー・ヒルBlueberry Hill》などの大ヒットを放ち,ロックンロール・ブームの土台を作った。軽快なリズムに乗ったピアノと人柄の温かさがそのまま表れたボーカルは,長年にわたりアメリカやヨーロッパで広く愛され,ビートルズ出現前の時期,プレスリーについで2番目の数のヒット曲をもつ人気スターだった。
執筆者:

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ドミノ」の意味・わかりやすい解説

ドミノ
Domino, Fats

[生]1928.2.26. ルイジアナ,ニューオーリンズ
[没]2017.10.24. ルイジアナ,ハービー
アメリカ合衆国の歌手,ピアノ奏者。本名 Antoine Domino, Jr.。R&B(→リズム・アンド・ブルース)界で活躍した,ロック音楽の先駆者。屈託のない演奏スタイルで独特の雰囲気をかもし出した。音楽一家に生まれ,幼くしてギタリストの義兄から音楽の手ほどきを受ける。10代でクラブに出演するようになり,1949年にデーブ・バーソロミューに見出された。初めて録音した『ザ・ファット・マン』The Fat Man(1950)を皮切りにヒット曲を立て続けに発表,1950~60年代に録音した楽曲の売上枚数は約 6500万枚を数える。単純なリズムのブギウギのピアノ演奏にサクソフォーンとドラムが加わり,均一な響きのミドルバリトンの声域でスイングする歌唱が愛された。代表曲『ブルーベリー・ヒル』Blueberry Hill(1956)をはじめ,スタンダード曲をロック風にアレンジした作品も発表した。1986年,ロックの殿堂入り。

ドミノ
Dominoes

室内ゲームの一つ。ダイスの目と同じデザインの記号を無印同士 (0-0) から6-6まですべて組合せた 28個から成る長方形の板状牌を使う。またこの牌をドミノ (ボーン) と呼ぶ。中国で考案され,14世紀頃ヨーロッパに伝わったといわれているが,史料では 18世紀中頃イタリアとフランスで使われていたことしか残っていない。遊び方はいろいろあるが,共通しているのはドミノを伏せてよく混ぜ,定められた個数ずつ取り,6-6の目から始めて順に同じ目のドミノを並べていく (6-6に6-1,1-5など) 。だれかが手持ちのドミノを出し切ったら終了し,他の人は残ったドミノの目の数の合計点と定められたプレミアム点だけ負けになる。パートナーシップ・ブロック・ゲーム (2人ずつ組み4人でプレーする) ,オールファイブ (プレーの最中に並んだ両端のドミノの目の合計が5の倍数になったら倍数分だけ得点する) ,バーゲン (プレーの最中に両端の目が同じになったら得点する) ,などがある。

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百科事典マイペディア 「ドミノ」の意味・わかりやすい解説

ドミノ

28個のボーン(二つのダイスを並べたような牌(パイ))を用いる遊戯。種々の遊び方があるが,いずれもボーンの組合せで勝負を決める。17世紀ころ中国で発明されたゲームが,18世紀にイタリア,フランスに導入されて現行の形になったといわれ,日本には幕末に伝来。
→関連項目ドミノ理論

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デジタル大辞泉プラス 「ドミノ」の解説

ドミノ

恩田陸のパニックコメディ小説。2001年刊行。

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世界大百科事典(旧版)内のドミノの言及

【住居】より

…これは特筆すべき変化で,従来の建築家は教会堂や宮殿,貴族の大邸宅を設計することはあっても,一般の家庭生活のための個人邸宅を設計することはなかったのである。ル・コルビュジエは1914年に〈ドミノDomino〉と呼ぶ建築の原型を提出したが,これは床と柱と階段だけからなるモデルであり,専用住居を想定したものであった。彼に限らず,20世紀初頭の建築家たちは独立専用住居を建築の原型と考えたのであった。…

※「ドミノ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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