ドローン(読み)どろーん(英語表記)drone 英語

デジタル大辞泉 「ドローン」の意味・読み・例文・類語

ドローン(drone)

一定の持続する音。多くは低音で、それを奏するための楽器や楽器の部分をいうこともある。
人が搭乗せず、遠隔操作により飛行する物体。偵察・攻撃など軍事目的のほか、農薬散布、災害状況の調査、報道現場や趣味での空撮などにも用いられる。無人航空機。無人機。UAV(unmanned aerial vehicle)。

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共同通信ニュース用語解説 「ドローン」の解説

ドローン

遠隔操作や自動操縦により飛行する小型無人機。複数のプロペラを持つものが一般的。有人機と比べて低コストで、搭乗員の被害を防げるため、軍事分野では戦闘や情報収集での活用が進む。ロシアとウクライナの戦いでも自爆型などが多用されている。日本政府も昨年末、国家防衛戦略に無人機を積極的に活用し、偵察用や攻撃型、水中活動型など多様な機種を整備すると明記した。(共同)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ドローン」の意味・わかりやすい解説

ドローン(無人飛行体)
どろーん
drone

遠隔操作や自動操縦で飛行する無人機の総称。英語のdroneは雄ミツバチの意味で、ブーンというハチの羽音から命名されたとされる。無人飛行機の英語の頭文字からUAV(unmanned aerial vehicle)、UAS(unmanned aircraft systems)などと略される。ハンググライダーのような固定翼航空機型と、回転翼(ローター)で垂直・水平飛行が可能な回転翼航空機型(マルチコプター)がある。大きさは全長10センチメートルほどの小型機から軍事用の大型機まで多様。1910年代から無人偵察・攻撃機として開発が始まり、第二次世界大戦後に実用化され、冷戦期を通じて軍事用として活用されてきた。21世紀に入って安価で小型・軽量なジャイロ・加速度センサーや二次電池が実用化され、複数ローターを搭載したマルチコプターが登場して民生需要が拡大した。

 一般にドローンといった場合、複数ローターをもつ小型マルチコプターをさす。全地球測位システム(GPS)や高性能カメラを搭載し、(1)鳥瞰(ちょうかん)した画像や映像の撮影・送信が可能、(2)人の近づけない危険地帯や過疎・離島地などで活用できる、(3)渋滞などに関係なく高速で移動可能、(4)スマートフォンなどで容易に操作できる、といった特性をもつ。このため玩具のほか、測量、インフラ点検、スポーツ中継や事件などの報道・取材、通信の中継、物流・配送、過疎・孤立地域への生活必需品輸送、農薬・消毒液散布、気象・海洋観測、森林管理、災害モニタリング、避難誘導・救助支援、警備・監視など、広範な需要が生まれて市場が拡大。矢野経済研究所の予測によれば、2025年までに世界のドローンの市場は2.9兆円規模に達するとみられる。日本UAS産業振興協議会によると、世界のドローン出荷数は400万機(2018)に上り、世界最大のドローンメーカー、大疆創新科技有限公司(DJI)はじめ、中国企業が世界のドローン生産の7割を占める(2021年時点)。

 海外ではアメリカのテキサスカリフォルニア・アリゾナ各州や中国、フランスなどが特区や都市を指定して関連ビジネス・技術を集中育成し、カリフォルニア州などでは、市街地で操縦者から見えない飛行(目視外飛行、レベル4)が始まっている。日本では2015年(平成27)に、首相官邸などでドローン落下事故が相次ぎ、規制が先行した。2015年以降、航空法(昭和27年法律第231号)をたびたび改正するとともに、2016年にドローン規制法(正式名称「重要施設の周辺地域の上空における小型無人機等の飛行の禁止に関する法律」平成28年法律第9号)を制定。首相官邸、国会議事堂、最高裁判所、皇居、外国公館、原子力発電所、自衛隊施設、在日米軍基地などの敷地・区域の上空、およびそれらの周囲約300メートルの地域の上空の飛行を禁じ、空港周辺、高さ150メートル以上の空域、人口密集地やイベント会場などの上空での飛行についても国土交通大臣の許可制とした。なお、許可を受けた場合や、禁止区域外の飛行であっても、道路・公園・広場など公共の場所の上空においては、アルコール・薬物摂取の影響下での操縦(違反には1年以下の懲役または30万円以下の罰金)、同じく爆発物など危険物の輸送、物を落下させること、騒音や急降下を伴う飛行など(50万円以下の罰金)も禁じた。2022年(令和4)6月には、機体重量100グラム以上のドローンを無人航空機と規定し、所有者と所有機の登録を義務化(2022年8月末時点で登録数約30万)し、飛行許可承認申請を必須(ひっす)とした。違反者には1年以下の懲役または50万円以下の罰金を科す。一方、ドローンのビジネス利用を促すため、目視内での操縦飛行(レベル1)に限定していた規制を段階的に緩め、2016年に目視内の自動・自律飛行(レベル2)、2018年に無人地帯での目視外飛行(レベル3)を容認。2022年12月には、国による機体の安全性認証制度と操縦者免許制度を導入することで、市街地上空など有人地帯での目視外飛行(レベル4)を解禁する。また、2015年から、ドローン特区や実験飛行場を指定し、宅配事業、離島・過疎地域での買い物弱者支援、農薬散布、鳥獣被害対策、医薬品配送などの実証実験を進めている。電波法に基づく免許不要の無線LAN周波数帯に加え、免許の必要な周波数帯(5.7ギガヘルツ帯と2.4ギガヘルツ帯、169メガヘルツ帯)を2016年からドローン専用として割り当て、ビジネス需要に対応している。

[矢野 武 2022年11月17日]


ドローン(音楽)
どろーん
drone 英語
bourdon フランス語
bordone イタリア語
Bordun ドイツ語
Stimmer ドイツ語
Brummer ドイツ語

音楽において多声性のテクスチュア(音構成原理)を形成する方式の一つ。「うなり音」を意味し、「持続低音」と訳すことがある。もとは、バッグパイプで最低主音、五度上音などをつねに鳴らし、その上で旋律を泳がすやり方に由来するが、これに類似した方法が曲の一部分に採用される場合も含めて、一般的な用語として使われるようになった。オルガンや弦楽器の独奏だけでなく、合奏でも効果をあげる。チベット仏教ラマ教)法要のらっぱ、モンゴルのホーミー(1人の男性が低いうなり声に加えて、口腔(こうこう)調整により高い倍音の旋律を歌う)、インド古典音楽でのタンブーラの音などの例もある。

[山口 修]

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知恵蔵 「ドローン」の解説

ドローン

操縦士が乗らない、無人飛行機のこと。英語の「雄ミツバチ」から転じた。大きさは、全長10センチ程度の小型のものから、30メートル超の大型のものまであり、ヘリコプターや飛行船の形をしたものもある。カメラや加速度センサー、傾きや角度などを検出するジャイロセンサーといった機器を装備して利用できるため、世界の研究機関や企業などが活用方法を模索している。従来のラジコンとの違いとしては、自動飛行が可能なことや、ただ飛ばすだけでなく、何らかの役割を果たすという目的を持って飛行させることなどが挙げられる。
もともとは、偵察や空爆など、軍事目的の開発から始まり、米国がパキスタンなどで、イスラム原理主義組織であるタリバンの幹部らを攻撃するのに使用したことから、世界的に注目されるようになった。近年、スマートフォンの大量生産による電池やセンサーの低コスト化やコンピューターによる自動制御技術の発展で、民間への新市場拡大が期待されている。
具体的に、米国のアマゾンやグーグルは、ドローンを利用した宅配サービスの研究を進めている。日本では、ドローン研究の第一人者と言われる千葉大学の野波健蔵・特別教授が、荷物の積載が可能な市販モデルの開発に取り組んでいる。また、2015年1月には、高松市で、小型のドローンを使った物資の輸送に挑戦する、民間のプロジェクトなどが行われた。
ドローンの技術開発は目覚ましい速さで進められているが、運用ルールは追いついておらず、墜落した際の安全確保やプライバシーの侵害などが問題視されている。例えば、上空を多くの飛行機が行きかう米国では、高度122メートル以下しか飛行できない。その上、商業利用は原則として禁止されており、映画や農業、不動産業界などは、使用するごとに米連邦航空局に申請して、例外措置を取得している状況だ。
日本の航空法では、ドローンは模型飛行機と同じ扱いで、一部の区域を除けば高度250メートルまでの使用なら届け出は不要なため、実験などは行いやすい。しかし、実際に運用するとなると、安全基準や管理者資格、保険といった、飛行機と同レベルの規制を整備する必要があると言われている。
今後は、災害時の物資の輸送や災害現場など危険地域での調査、農薬の散布など農作業全般、工場内での部品の輸送など、様々な用途での実用化が期待されている。

(南 文枝 ライター/2015年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ドローン」の意味・わかりやすい解説

ドローン
drone

無人機の意。無線による遠隔操縦,あるいは搭載コンピュータにあらかじめプログラムされたパターンで自律飛行をする。ドローンとは,ハチの羽音,もしくは雄蜂をいい,そこからアメリカ軍が非公式に小型無人機に対して,この名を使うようになった。ただし,科学的,技術的用語ではないため,無人機すべてをドローンと呼ぶべきかどうか,必ずしも明確ではない。近年では主として,複数のロータをもち,全地球測位システム GPSによる自律航法装置を備えた小型のマルチロータヘリコプタをさすことが多い。無人機については,ほかにも UAV; Unmanned Aerial Vehicle,ラジコン機,ロボット機などの呼び方がある。無人機は第2次世界大戦中から開発が始まり,戦後まもなく実用になった。当初は標的機として,戦闘機の訓練に使われた。1970年代には偵察機にもなり,1995年にはアメリカ空軍の無人偵察機プレデターが登場した。民間機として市街地上空を飛ぶようになると,落下や衝突などのトラブルが発生し,その存在と危険性が広く知られるようになった。このため,欧米諸国で規制の動きが強まり,アメリカ合衆国では 2015年12月から重さ 250g以上のドローンの登録が義務づけられた。日本でも航空法が改正され,2015年12月から無人航空機の定義や飛行ルールなどが新たに導入された。なお,日本では 2000年代に入って無人ヘリコプタによる薬剤散布が本格化し,ほかにも学術調査,防災,測量などの業務に使われている。

ドローン
drone

音楽用語。楽曲構成にかかわりなく,同一音上に持続される一声または多声の低音。声楽でも低音域にドローンを伴うものがみられるが,器楽ではハーディ・ガーディやバッグパイプのようにドローン弦,ドローン・パイプをもつものが珍しくない。非ヨーロッパ音楽にも例が多く,インドのタンブールはもっぱらドローンを演奏するために用いられる楽器である。

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改訂新版 世界大百科事典 「ドローン」の意味・わかりやすい解説

ドローン
drone

単調に持続する低音を奏する(歌う)こと,その楽器,もしくはその音を指す。西洋音楽では古くから大別して以下の三つの意味がある。(1)保続低音しか出せず,他の楽器や歌の伴奏にのみ用いられる素朴なバッグパイプ,(2)バッグパイプやハーディ・ガーディなどの低音管(弦),(3)多声音楽における保続低音(オルゲルプンクト,ドローン・バス,ブルドンともいう)。持続的に低音を奏することは非欧米音楽にも広く見られる。とりわけインドの古典音楽では,曲の開始以前から終始とぎれることなく当該の旋法の主音と属音を鳴らし続ける演奏慣習がある。この場合,ドローン楽器(タンブーラやシュルティ・ボックス)はたいてい専従者が受け持つ。
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知恵蔵mini 「ドローン」の解説

ドローン

無人飛行機のこと。一般に地上からの遠隔操縦によって飛行するが、機上のコンピューターの判断で自律飛行が可能なものもある。攻撃や偵察などの軍事目的で開発・利用が始まり、農薬散布や航空撮影などの商用利用へと用途が拡大した。それに伴い、大型機から小型機まで大きさや重量、形状は多様化している。近年では配送や通信、警備といった分野への導入も検討されており、米国の大手IT企業が相次いで実用化に向けた計画を明らかにしている。2014年にはソニーが実用化に向けた開発に乗り出したと報じられ、日本でも注目を集めた。

(2014-9-1)

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百科事典マイペディア 「ドローン」の意味・わかりやすい解説

ドローン

無人機

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