ナガイボグモ(英語表記)Hersiliidae

改訂新版 世界大百科事典 「ナガイボグモ」の意味・わかりやすい解説

ナガイボグモ (長疣蜘蛛)
two-tailed spider
Herenia savignyi

ナガイボクモ科のクモ。体長は雌10mm,雄7mm。体は扁平で暗灰色の地に灰白色の縦斑がある。沖縄,台湾,中国南部からインドまで分布し,林間にすむ。木肌によく似ているので,樹幹にへばりついていると,さがすのが困難。脚は体に比べて細く長いが第3歩脚は極端に小さい。和名,英名ともに体長に等しい長さの糸疣(しゆう)をもっているためと思われる。8本の歩脚を四方に広げて樹幹に静止し餌のくるのを待ち,そばに昆虫などがくると,腰を浮かしてようすをうかがい,昆虫が静止すると一歩一歩後ずさりをし,昆虫から見えなくなる幹の後側まで下がると,長い糸疣をふりながら粘る糸をぴゅっと昆虫めがけて飛ばす。昆虫はどこからともなく自分の周囲に雨のように粘る糸が降ってくるので,あわてて逃げだそうとするが,足を取られて逃げだせない。そこをねらってとびかかりとらえてしまう。ナガイボグモの仲間は世界の熱帯・亜熱帯地方に約120種が生息している。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ナガイボグモ」の意味・わかりやすい解説

ナガイボグモ
Hersiliidae

クモ綱クモ目ナガイボグモ科に属する種類の総称。体長約 1cm,体の色は褐色ないし緑色で,樹皮地衣類の色と似ている。この種類は,その名のとおり糸いぼの後対が非常に長く,よく発達している。樹木の幹などに頭を下にしてじっとしていて,通りかかった昆虫などの小型の節足動物に,周囲をぐるぐる回りながら,糸いぼから糸を投げかけてからめとる。チリグモ科 Oecobiidaeに近縁と考えられ,世界に5属約 120種が知られる。熱帯に多く,日本には八重山諸島にナガイボグモ Hersilia savignyi1種のみを産する。 (→クモ類 )

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android