改訂新版 世界大百科事典 「ダンゴムシ」の意味・わかりやすい解説
ダンゴムシ (団子虫)
pill-bug
Armadillidium vulgare
オカダンゴムシともいう。宅地,花壇,畑などの朽木,枯葉や石の下など,陰になった湿気のあるところにすみ,触れたりすると,体を完全な球状にまるめることのできる小型の陸生の甲殻類。日中はあまり目だたないが,夜になると活発に活動する。腐りかけた落葉や草,昆虫などの死体を食べるが,イチゴなど農作物に害を与えることもある。等脚目ダンゴムシ科。体長10mmくらい。体は灰色あるいは暗褐色の地に淡黄色の縦縞のあるもの,一様に暗褐色または紫黒色の個体もある。ときに,体の半分が白くなっているものを見かけるが,これは,この類がフナムシやワラジムシと同様に,脱皮を2回に分けてするからである。まず体の後半の,次に前半の脱皮が行われる。この間数日を要する。第1と第2腹肢の外肢には,外皮が二次的に陥入してできた擬気管の集りがあり,肉眼でもはっきり白く見える気囊を形成しており,ここで空気呼吸をしている。元来,ユーラシア大陸の原産であるが,現在は全世界に分布を広げている。
ダンゴムシによく似たものに,ハマダンゴムシ科に属し,日本各地の海浜の小石の下などにすみ,小石に似た色彩をした体長10mmくらいのハマダンゴムシTylos granulatusがある。この種では第1~4腹肢の外肢に気囊が見られ,ダンゴムシとは異なった外皮の陥入のしかたでできた二次気管がある。
執筆者:蒲生 重男
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報