ニクソン訪中(読み)ニクソンほうちゅう

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ニクソン訪中」の意味・わかりやすい解説

ニクソン訪中
ニクソンほうちゅう

1972年2月21日から 28日にかけて行なわれたアメリカ合衆国大統領リチャード・M.ニクソンの中国公式訪問。これをきっかけに 1949年以後断絶状況にあった米中関係の正常化が始まり,アメリカとソビエト連邦を軸とする冷戦下の国際状況に大きな影響を与えた。中国の国共内戦におけるアメリカの国民党支持,朝鮮戦争への中国軍隊の参戦および台湾海峡におけるアメリカの介入などによって,中国はソ連陣営に属し,アメリカと敵対してきた。しかし,1960年代の中ソ論争を契機に,ソ連の対中経済援助が中断され,中ソ関係は武力衝突が起こるほど急速に悪化,ソ連は中国の主要な敵国にまわった(→中ソ対立)。一方,戦略核兵器などでソ連に対する優勢が崩れたアメリカは,中国との関係改善によってソ連を牽制し(→チャイナ・カード),ベトナム戦争終結にも役立てたいという外交上の思惑から,外交交渉を重ねて関係回復に踏み込んだ。1971年3月15日,アメリカ国務省は中国への旅行制限を全廃し,同年 4月日本開催の世界選手権大会に参加したアメリカ卓球チームとアメリカ人記者が訪中(→ピンポン外交)。同 1971年7月,ヘンリー・A.キッシンジャー特別補佐官が訪中してニクソン訪中を準備し,7月15日,米中両国はニクソンが 1972年5月までに訪中すると発表するにいたった。

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