ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ヨルゲンセン」の意味・わかりやすい解説
ヨルゲンセン
Jørgensen, Anker Henrik
[没]2016.3.20. コペンハーゲン?
デンマークの政治家。首相(在任 1972~73,1975~82),社会民主党党首(在任 1972~87)。労働者階級出身。4歳で両親を失い,早くから働き始めた。1936~50年,造船所や倉庫で働く。1950年代初めにデンマーク一般労働者組合に入り,1958~62年倉庫労働組合委員長,1968~72年デンマーク一般労働者組合委員長を務めた。1964年に社会民主党から国会議員に当選,労働関連問題に傾注。1972年,デンマークのヨーロッパ共同体 EC加盟承認の国民投票を行なったイェンス・オットー・クラーグが首相を辞任すると,ヨルゲンセンは閣僚経験のないまま後継者としてクラーグに指名され,首相に就任。在任中はその出自に忠実であり続け,労働者階級の居住地区から首相官邸への転居を拒否し,冷戦下ではデンマークの中立維持を模索した。1973年の総選挙で社会民主党は政権を失ったが,1975年に少数与党ながら首相に返り咲いた。1982年予算争議のさなかに首相を辞任。1994年政界から引退。おもな著作に "Fra Christianshavn til Christiansborg: erindringer 1922-1972"(1994)など,日記や回顧録がある。
ヨルゲンセン
Jørgensen, Jens Johannes
[没]1956.5.29. スベンボル
デンマークの詩人。フューン島の信心深い家に生れたが,コペンハーゲン大学に学ぶうち急進思想に触れ,異端の詩人として出発。しかし,ニーチェやベルレーヌ,ボードレールらの影響下に詩誌『塔』 Taarnet (1893~94) を出して魂の不安を歌う象徴派的な詩風に移り,1896年カトリックに改宗した。聖フランシスコを慕ってイタリアに長く滞在,紀行『巡礼の書』 Pilgrimsbogen (1903) ,評伝『アッシジの聖フランシスコ』 Den hellige Frans af Assisi (07) によって全ヨーロッパに知られ,カトリック復興の機運を促した。詩集は数多いが初期の『気分』 Stemninger (1892) ,回心後の『告白』 Bekendelse (94) ,『花と果実』 Blomster og Frugter (1907) ,回想詩集『ここに泉が湧く』 Der er en Brønd,som rinder (20) などがすぐれ,また晩年故郷へ帰ってからの『デンマーク詩集』 Digte i Danmark (43) も戦争への激しい抗議で知られる。ほかに自伝『わが生涯の伝説』 Mit Livs Legende (7巻,16~28) も流麗。
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