日本大百科全書(ニッポニカ) 「ニグリ」の意味・わかりやすい解説
ニグリ
にぐり
Paul Niggli
(1888―1953)
スイスの鉱物学者、岩石学者。チューリヒ工科大学を技師として卒業後、鉱物学、岩石学の分野に進む。最初のころはアルプスの結晶片岩について研究し、変成作用に物理化学的原理を導入したパイオニア。1915年ライプツィヒ大学、1918年チュービンゲン大学に席を得、1920年チューリヒ大学の教授となる。この間、X線のデータから空間群を求める方法を考案し、1919年『不連続体の結晶幾何学』Geometrische Kristallographie des Diskontinuumsを著した。この本で、230の空間群における対称要素と空間群を決定するための表を与えた。また1924~1926年に有名な『鉱物学』Lehrbuch der Mineralogie2巻を著した。火成岩岩石学、鉱床学の分野での功績も大きい。
[松原 聰]