日本大百科全書(ニッポニカ) 「ハリウッド映画」の意味・わかりやすい解説
ハリウッド映画
はりうっどえいが
映画の都とうたわれたアメリカ、ロサンゼルス郊外ハリウッドでつくられた映画の総称。アメリカのメジャー撮影所(MGM、パラマウント、ワーナー・ブラザース、20世紀フォックス、RKO、コロンビア、ユニバーサルなど)のほとんどすべてが、ハリウッド、ないしはその周辺にスタジオをもち、そこで映画製作を行っていたため、この呼び名となった。ハリウッド映画が全盛を誇ったのは1920年代から1950年代にかけてである。その間、毎年500本近い作品が製作され、ミュージカル、コメディ、西部劇、ギャング映画、フィルム・ノワール(暗黒映画)などの多彩なジャンル、スクリーンを彩る華麗なスターたち、アクション満載のロマンティックでスリリングな物語、絢爛(けんらん)豪華な衣装やセット、美しい映像や流麗な音楽によって世界中の観客を魅了した。「映画工場」としてのハリウッドは過去のものとなったが、アメリカの映画会社の多くは現在もハリウッドを拠点としており、個人の表現手段としての映画、社会変革の道具としての映画とはしばしば対極にある、製作費をかけた利潤追求型の、娯楽の王道としての映画という意味で、「ハリウッド映画」ということばは現在も生き続けている。
[宮本高晴]