ハリプンジャヤ(英語表記)Haripuñjaya

改訂新版 世界大百科事典 「ハリプンジャヤ」の意味・わかりやすい解説

ハリプンジャヤ
Haripuñjaya

11世紀ごろから13世紀末にかけて,タイ北西部のラムプーンを中心に栄えたモン族の国家。ハリプンジャヤとはパーリ語による呼称で,タイ語ではハリプンチャイHaripunchaiという。15~16世紀にチエンマイで著された《チャーマデービーバンサ》《ジナカーラマーリー》などのパーリ語史書やラーンナータイ語の史書《ムーンラサーサナー》などが一致して記すところによれば,ハリプンチャイは聖仙バースデーバによって建設された都で,ラバプラ(ロッブリー)王の娘チャーマデービーが,500人の家来とともにピン川を遡航してそこに至り王朝を創始したという。この伝承は,中部タイのモン族の一部がドバーラバティ滅亡後,北方に移動したことを示唆するものと見られる。同じ伝承にチャーマデービーは〈三蔵に通暁した500人の長老を同行した〉とあるが,ハリプンチャイでは国王庇護の下でさかんに上座部仏教が行われた。現存する数個のハリプンチャイ碑文はいずれもモン語ないしモン語とパーリ語をもって記されている。書体ビルマ(現ミャンマー)のパガン朝のチャンシッター王時代のミャゼーディ碑文(1113)に用いられた字体に酷似していることから,その製作年代は12世紀初頭と推定される。ハリプンチャイの仏教美術陳腐化した後期モン様式の特徴を示す。1292年,新興のタイ族国家ラーンナータイの王マンライの攻撃を受けて滅亡した。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のハリプンジャヤの言及

【付札】より

…江戸時代,公文書に貼付された付箋の一種で指令,意見,返答などを記すのに用いられた。付紙,張札とも称する。付札はとくに下から提出された伺書に対して回答を下す場合に多く見られ,幕府は大名諸家よりの伺書に対して老中の付札をもって回答指示を与えた。…

※「ハリプンジャヤ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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