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ハーケ Hans Haacke

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大辞林 第三版の解説

ハーケ【Hans Haacke】

1936~ ) ドイツの芸術家。実証可能な事実のみで作品を構成することを追求し、アパルトヘイトに協力的な企業のマークを南アフリカの黒人の葬列と重ねた作品などで知られる。

出典|三省堂
(C) Sanseido Co.,Ltd. 編者:松村明 編 発行者:株式会社 三省堂 ※ 書籍版『大辞林第三版』の図表・付録は収録させておりません。 ※ それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

百科事典マイペディアの解説

ハーケ

ドイツの美術家。自然や社会のシステムに関心を示し,政治・経済・環境と美術の関連を批判的に追求する。1960年代は透明プラスティックの容器に空気を閉じこめた《凝結》(1963年―1965年)や,展示空間に盛り土をして植物の種を植えた《草は育つ》(1969年)など,自然や環境に関係する作品を制作。
→関連項目コンセプチュアル・アート

出典|株式会社日立ソリューションズ・クリエイト
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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

ハーケ
はーけ
Hans Haacke
(1936― )

ドイツ出身のアメリカで活動する美術家。ケルン生まれ。カッセルのスタートリヒ美術学校を卒業した後、パリのスタンリー・ウィリアム・ハイター・アトリエに1年間滞在して美術を学ぶ。1961年にフルブライト奨学生としてアメリカ、フィラデルフィアに移り、65年にニューヨークに拠点を定める。当初はキネティック・アートの作風を特徴とする芸術運動「グルッペ・ヌル」(「グループ・ゼロ」の意)の一員として活動、水蒸気が氷結するプロセスをそのまま作品化した『氷の柱』(1966)など、物質の物理的な作用をミニマルな形態で提示するタイプの作品を制作していた。71年、グッゲンハイム美術館での個展では、美術館の理事を務める人物の不動産マッピングした作品を発表しようとして出品拒否にあうなど、70年前後から、資本主義社会におけるさまざまな矛盾を問題視した作品を相次いで制作する「社会派」としての側面を強くしてゆく。
 メセナ事業がタバコ会社の出資に依存している現実など美術と企業利益の共犯関係、アパルトヘイトに代表される人種差別、母国ドイツで台頭するネオ・ファシズムなどがハーケの主な批判的関心の対象であり、70年代以降は膨大な情報や資料を駆使しながら、それらの社会問題を明快に、かつ客観的に構造化してインスタレーションに仕立てる制作手法を確立した。このような手法は、80年代以後に展開されたシミュレーショニズムと近く、ロンドンのテート・ギャラリー(現テート・ブリテン)における個展(1984)、ニューヨークのニュー・ミュージアムでの回顧展(1986~87)、パリのポンピドー・センターにおける個展(1989)などの展覧会を通じて、国際的なシミュレーション・アーティストとしての評価を不動のものとした。
 その「社会派」としての制作活動に実証的な社会科学としての側面が強いことは、社会学者ピエール・ブルデューPierre Bourdieu(1930―2002)との対談集『自由―交換』Libre-change(1994)を出版していることなどにも認められるが、一方でハーケの作品はいずれも厳格な造形的美意識に則ったものであり、観る者を一種のカタルシスへと引き込む力をもっている。93年のベネチア・ビエンナーレのドイツ館個展で発表され、金獅子賞を受賞した壮大なインスタレーション『ゲルマニア』は、ハーケのそうした社会的側面と審美的側面とが見事に融合した作品である。ロッテルダムのボイマン美術館で開催された「出来事を見ること」展(1999)では、美術館のコレクションの玉石混淆ぶりを暴(あば)くなど、「社会派」としての健在ぶりを示した。なおハーケは、資本主義に加担しない意図を徹底するため、自作のドローイングやスケッチを売買しないことでも知られており(大半の作品がインスタレーションなのもそのためだ)、教育活動に基本的な生計を依拠、79年以来ニューヨークのクーパー・ユニオンで教授を務めている。[暮沢剛巳]
『ピエール・ブルデュー、ハンス・ハーケ著、コリン・コバヤシ訳『自由―交換――制度批判としての文化生産』(1996・藤原書店)』

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