日本大百科全書(ニッポニカ) 「テート・ギャラリー」の意味・わかりやすい解説
テート・ギャラリー
てーとぎゃらりー
Tate Gallery
ロンドンのミルバンクにあるイギリスの代表的美術館テート・ブリテンの旧称。16世紀以降のイギリス人作家の作品を網羅すると同時に、19世紀後半以降の外国人作家の絵画、彫刻、版画を収蔵・展示してきたが、コレクションの拡大により、2000年バンクサイドにテート・モダンを開設、20世紀以降の作品はテート・モダンへと移された。それに伴い2001年テート・ギャラリーはテート・ブリテンに改称された。テート・ギャラリーの歴史は、製糖で財をなしたヘンリー・テート卿(きょう)が作品と建物を寄贈し、イギリス美術を展示する美術館として1897年に開館したのに始まる。近代美術の収集が開始されたのは1917年からであり、また1955年に独立した機関となるまではナショナル・ギャラリーの別館とされていた。1979年までに5回の拡張工事が行われて矩形(くけい)となった建物は、西半分が国内美術に、東半分が海外作品と近代美術の展示にあてられた。コレクションには、イギリス最大の風景画家ターナーが1851年に国家に遺贈した180点の油彩画と1900点の素描・水彩画が含まれ、ホガース、レノルズ、ゲーンズバラ、ラファエル前派の画家などの代表作を展示する。また、水彩画や版画を主とするブレイクとその追随者パーマーやカルバートらの作品には、照明にくふうを凝らした一室が与えられている。
[湊 典子]