改訂新版 世界大百科事典 「バッタン」の意味・わかりやすい解説
バッタン
batten
1733年,イギリスのJ.ケイが発明した飛杼(とびひ)装置flying shuttleのことで,ブランコのように揺動できる木枠に固定した筬(おさ)の両端に杼箱をつけ,この中に入れたシャットル(杼)をひもを引いて弾き飛ばす装置である。語源はフランス語で〈打つ〉という意味をもつbattantで,イギリスなどでは筬を固定した枠を機台に掛け,これを揺動させて緯(よこ)打ちを行う装置のことをさす。日本には1873年(明治6)ころオーストリア,フランスなどからジャカードとともに導入された。75年,長谷川政七がこれを模造し,ハジキ框(かまち)と称した。このころからバッタンは高機(たかばた)に取り付けられ(綜絖(そうこう)も弓棚式からろくろ式に変化),両手を使って杼を投げ入れていた従来の高機に比べ,広幅の布を能率よく均一に織ることができるようになった。
執筆者:近田 淳雄
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報