バリ人(読み)バリじん(その他表記)Balinese

翻訳|Balinese

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「バリ人」の意味・わかりやすい解説

バリ人
バリじん
Balinese

インドネシア,バリ島中心に住む一民族。人口約 300万,ロンボク島にも一部が住む。言語はオーストロネシア語族に属する。文化はジャワ族の影響を強く受けており,大部分のインドネシア人がイスラム教徒であるのに対し,バリ人の大部分はヒンドゥー教徒である。バリのヒンドゥー教は固有の宗教とヒンドゥー教とが融合,混合して独自の宗教体系を形成している。水稲耕作民で,ほかにヤムいも,さつまいも,とうもろこし,野菜,果物,やしを栽培し,豚,あひる,鶏などの家畜を飼育している。長方形の塀で囲った屋敷に住み,この中には複数の家族が住むこともある。出自父系をたどり夫方居住制であり,相続は父から息子になされるが,双系的な親族関係も機能している。村は普通いくつかの下位集団に分れている。灌漑のための水利組合その他の集団はそれとは別につくられ,親族集団の成員もいくつかの村に分散しており,複雑な社会組織が形成されている。カースト制があるが,異なるカースト間の共食タブーはなく,職業とも無関係である。ただし,カースト内婚が優先される。全体の9割は最下層のカースト (シュードラ) に属する。生活宗教儀礼を中心としており,祖先崇拝がきわだっている。各屋敷に祖霊を祀るやしろがあり,盛大な火葬を行う。ガムラン儀礼によく用いられる。近年,バリ島の観光地化に伴い,諸儀礼はますます活発になり,多様化してきている。

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