パシュパティ(その他表記)Paśupati

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「パシュパティ」の意味・わかりやすい解説

パシュパティ
Paśupati

サンスクリット語で獣主の意。特にヒンドゥー教一派であるシバ派の主神シバ異名とされる。インダス文明遺跡からそれの原形と想定される像を刻んだ印章が発見されたことから,起源はきわめて古いと考えられ,インドの民俗的な宗教に求められたりする。また,ベーダ文献の一つ『アタルバ・ベーダ』では,すでにシバ神の名の一つとしてあげられており,ブラーフマナ文献においても,ルドラ神の異名として現れる。ヒンドゥー教では,特にパーシュパタ派でこの名の神が重要視され,最高神として扱われ,ネパールでも重んじられている。

パシュパティ
Pashupati

ネパール中央部,バグマチ地方のカトマンズ付近にあるヒンドゥー教の聖地。バグマチ川の渓流にのぞむ。パーシュパタ派の寺院中心多数の寺院や廟があり,河岸は数百mにわたって沐浴場となっている。また,この地で息を引取った者は救われるといわれるため,2月の例祭を中心に,多数の巡礼が訪れる。人口約 3000。

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世界大百科事典(旧版)内のパシュパティの言及

【インド神話】より

…さらに,世界を破壊するときに,恐ろしい黒い姿をとるので,マハーカーラMahākāla(大黒)と呼ばれる。彼はまたパシュパティ(獣主)とも呼ばれるので,後にパーシュパタ(獣主派)というシバ教の一派が形成された。シバの妃はパールバティーPārvatī(〈山の娘〉の意)である。…

※「パシュパティ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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