ヒューマイト(英語表記)humite

改訂新版 世界大百科事典 「ヒューマイト」の意味・わかりやすい解説

ヒューマイト
humite

ヒューマイト族に属する造岩鉱物ノルベルジャイトnorbergite Mg3SiO4OH2(斜方晶系),コンドロダイトchondrodite Mg5Si2O8(OH)2単斜晶系),ヒューマイトMg7Si3O12(OH)2(斜方晶系),クリノヒューマイトclinohumite Mg9Si4O16(OH)2(単斜晶系)の4種の総称およびその1種。ヒューマイト族鉱物は,構造的に互いに密接な関係があり,フォルステライトMg2SiO4構造をもつ層と,ブルーサイトMg(OH)2構造をもつ層とが互層している。ブルーサイト単位とフォルステライト単位の割合は1から4(ノルベルジャイトからクリノヒューマイト)まで整数比で変化する。天然の鉱物ではMgの一部がFeTiによって置換されており,またOHとFの置換が広い範囲でおこっている。淡黄,黄,黄褐ないし褐色,モース硬度6~6.5,比重3.15~3.35,{100}に不完全なへき開がある。光学的性質は類似しているので,顕微鏡下で決定するのはむずかしいが,格子定数比acはすべてに共通しているが,abbcは特定の規則に従って変化するので,通常はX線を用いて識別する。変成または交代作用を受けた石灰岩ドロマイト,アルカリ深成岩またはスカルン,変質したカンラン岩や斑レイ岩に出現する。合成実験によると,コンドロダイトとクリノヒューマイトは1000℃において77kbar(地下270km)まで安定であり,上部マントルにおいて金雲母や角セン石とともに含水鉱物として存在している可能性がある。事実チタンに富むコンドロダイトとクリノヒューマイトはまれにキンバーライトに含まれている。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

岩石学辞典 「ヒューマイト」の解説

ヒューマイト

(1) →ヒューモリス.(2) 鉱物の名称で,成分はMg7Si3O12(F, OH).

出典 朝倉書店岩石学辞典について 情報

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