ビデオカメラ(読み)びでおかめら(その他表記)video camera

翻訳|video camera

デジタル大辞泉 「ビデオカメラ」の意味・読み・例文・類語

ビデオ‐カメラ(video camera)

映像を電気信号に変換するカメラ。テレビスタジオの大型のものから家庭ビデオの小型携帯用のものまで機種は多い。

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精選版 日本国語大辞典 「ビデオカメラ」の意味・読み・例文・類語

ビデオ‐カメラ

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] videocamera ) 映像を電気信号に変換するカメラ。大型のものから携帯用のものまで機種は多い。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ビデオカメラ」の意味・わかりやすい解説

ビデオカメラ
びでおかめら
video camera
camcorder

テレビカメラとVTRビデオテープレコーダーvideo tape recorder)が一体となった家庭用(民生用)カメラ一体型VTRの総称。VTR、DVD(デジタルビデオディスクdigital video disc、多用途デジタルディスクdigital versatile disc)のような動画像を録画・再生する装置を内蔵し、CCD電荷結合素子charge coupled devices)、CMOS(シーモス)センサー(相補型金属酸化膜半導体complementary metal oxide semiconductor)などの電子的撮像デバイス(光学像を電気信号に変える部品)を用いて、動画像の撮像、記録、再生ができる家庭用のカラーカメラをいう。静止画像を撮影し、半導体メモリなどに記録するカメラはデジタルカメラデジタルスチルカメラという。

 ドラマやスポーツ中継など動画像が撮影できるテレビジョン用のカメラを放送局ではテレビジョンカメラまたはテレビカメラとよんでいるが、家庭用にテレビカメラが使われるようになって、これをビデオカメラとよぶようになった。放送用ではVTRと一体となったカメラをEFP(electronic field production)カメラ(ロケーション用)、ENG(electronic news gathering)カメラ(取材用)という。また、機動性を発揮できるように設計された小型テレビカメラをハンディカメラとよぶことがある。その他の医療用、工業用ではVTR一体型は少ないが、CCDカメラ、カラーカメラとよばれる。また、欧米ではカムコーダーcamcorderが一般的である。

 VTRと一体となったビデオカメラは初期にはビデオムービー、ムービーカメラ、カメラレコーダー、カムコーダーなど各種の呼び方があったが、家庭用カメラはカメラ単体でなく、録画装置付きが一般的となり、ビデオカメラで統一されるようになった。

[竹村裕夫]

沿革

一般家庭用のビデオカメラの出現は1974年(昭和49)で、東芝から「IK12」として29万8000円で発売された。真空管一種である1インチビジコンという撮像管1本が使われ、Cy(シアン)とW(透明)、Ye(黄色)とW(透明)の2組の色を縞(しま)状に配列したストライプフィルターが使われた。カメラだけで一抱えあり、重量は2.6キログラムであったが、別パッケージのVTRとケーブルで接続してカラー画像の録画・再生が簡単にできる唯一のものであった。

 家庭用カメラ一体型VTRの出現は1983年で、ソニーから「ベータムービー」として発売された。2分の1インチトリニコンという撮像管を使用、ベータ方式のVTRと一体型にしたものであった。翌84年に25万画素CCDを用いたカメラと8ミリ方式VTRを一体型にしたもので「8ミリビデオ」とよばれる「CCD‐V8」が29万8000円で発売された。これを契機に、固体撮像デバイスを用いたカメラと、8ミリ方式VTRをはじめ、VHS‐C(VHSコンパクト)、DV(デジタルビデオdigital video)など各種方式のVTRを一体型にしたビデオカメラが急速に普及することになった。

[竹村裕夫]

構造と機能

ビデオカメラは撮像用のカメラ部とVTRなどの録画・再生部が一体に構成された装置である。

[竹村裕夫]

カメラ部

カメラ部は撮像レンズを中心とする光学系、CCDなどの撮像デバイス、信号処理と各種の自動化機能のためのデジタル回路から構成される。

 撮像レンズは被写体の画像の倍率・大きさが自動的に変えられるようにズームレンズが用いられる。倍率は3~8倍程度で、倍率が大きくなるとレンズの大きさが大きくなる。また、レンズの絞りは光学絞りと撮像デバイスの電子シャッターとが併用され、最適な露光条件が設定される。

 撮像デバイスは画素数、感度、ダイナミックレンジ(歪みなく伝送できる振幅の範囲)、S/N比(信号対雑音比signal to noise ratio)が重要である。1画素の大きさは3~5マイクロメートル(1マイクロメートルは1000分の1ミリメートル)、全画素数は40万~130万画素程度が用いられる。感光面の大きさは4ミリメートル×3ミリメートル程度である。写真フィルムに比べると感光面サイズはかなり小さく、感度は同程度だが、ダイナミックレンジが狭く、ノイズも大きいので、最適露光条件で撮影することが必要になる。

 信号処理回路、自動化機能回路は1チップのデジタルLSI(大規模集積回路large scale integrated circuit)で構成される。信号処理はS/N比改善、多重信号からの色分離、画質改善のための各種処理回路から構成される。また、特別な調整をしなくても良い画像が撮影できるように、ピント、露光、色バランスを中心に各種の自動化機能が備えられている。

[竹村裕夫]

録画・再生部

録画・再生部はVTRがほとんどであったが、2000年代になってDVDやHDD(ハードディスク記憶装置hard disk drive)なども用いられるようになった。VTRもVHS‐C、SVHS‐C、8ミリ、Hi-8(ハイエイト)、DVなどの方式が用いられ、専用のテープが必要であるが、VHS‐C、SVHS‐Cはアダプタを使えば、それぞれVHS、SVHS方式の据置型VTRで再生できる。一般のVHS方式VTRではカセットが大きく、小型・軽量化が必要なビデオカメラでは使えないため、これらの各種VTRの規格がつくられ、実用化されてきた。また、記録容量が大きいDVDやHDDの開発が進み、世界標準のMPEG(エムペグ)‐2(moving picture experts group-2)方式によるデジタル画像の圧縮技術も開発された。DV、DVD、HDDなどデジタル記録方式(デジタルビデオカメラ)は、アナログ記録方式に比べて、ダビングを行っても画像の劣化が少ない、画質が良いなどの特徴がある。

 ビデオカメラでは小型・軽量化が重視されるので、6層の微細配線技術など最新の高密度実装技術が駆使され、さらに小型電子回路部品の高速装填(そうてん)などの量産技術が必要である。また、長時間の使用に耐える、小型で軽量な電池も必要とされる。

[竹村裕夫]

『竹村裕夫・田中繁夫著『家庭用ビデオ機器』(1991・コロナ社)』『阿部正著『ビデオカメラ入門』(1992・同文舘出版)』『竹村裕夫著『CCDカメラ技術入門』(1997・コロナ社)』『和久井孝太郎他著『テレビジョンカメラの設計技術』(1999・コロナ社)』

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世界大百科事典(旧版)内のビデオカメラの言及

【ビデオテープレコーダー】より

… テレビ番組を視聴したいときに自由に見たいといった要求を満足させる装置およびビデオパッケージ用として家庭用の普及も著しい。また,ビデオカメラとの一体型も開発され,放送用としては報道取材に,家庭用としてはフィルムムービーカメラに替わるものとして活用されている。 装置は磁気記録技術を同様に用いている一般のオーディオテープレコーダーと比較して,映像信号の記録に関して次の諸点に大きな違いがある。…

※「ビデオカメラ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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