MPEG(読み)えむぺぐ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「MPEG」の意味・わかりやすい解説

MPEG
えむぺぐ

moving picture expert groupの略語。動画像を高能率符号化してデータ圧縮するための国際標準方式。本来、MPEGとは、国際標準化機構(ISO)に1988年に設立された動画像の圧縮・伸長規格をつくる作業部会名であるが、規格そのものをもよぶようになった。

 MPEG1は画像と音声をあわせて毎秒1.5メガビットに圧縮する符号化技術、映像の表示は352×240画素を毎秒30フレーム、または352×288画素を毎秒25フレーム、画質はVHS方式のVTRなみである。カラオケ、CD-ROM(ロム)などのパッケージメディア向けである。

 MPEG2は画像と音声をあわせて毎秒4~15メガビットに圧縮する符号化技術、映像の表示は毎秒30フレームでテレビ放送(720×480画素)からハイビジョンクラス以上(1920×1080画素)までカバーする。DVD(デジタル多用途ディスク)やデジタルビデオカメラ、直接受信衛星放送などの高画質向けで、パソコンにも搭載が計画されている。

 MPEG3はもともとはハイビジョンクラスに用意されたが、1992年にMPEG2に吸収されて消滅している。

 MPEG4は、最初伝送路条件の厳しい用途用に起案されたが、形状符号化やCG(コンピュータ・グラフィクス)と自然映像との組合せなど幅広い応用の国際標準化が1999年2月に定められた。

 MPEG1の音声部分だけの圧縮規格はMP3とよばれ、オーディオ信号のデジタル化に利用される。

[岩田倫典]

 MPEG7は、映像や音声を含むマルチメディアコンテンツを記述するための標準規格、MPEG21は、デジタルコンテンツの標準化のための規格である。

[編集部]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「MPEG」の意味・わかりやすい解説

MPEG
エムペグ

情報量の多い動画像情報を処理するための技術で,画像情報,音声情報をデジタル化し,それを同期させたうえで圧縮,伝送,高密度で記録するための国際標準規格。国際標準化機構 ISOと国際電気標準会議 IECの下にあるワーキンググループ MPEG (Moving Picture Experts Groupの略) で開発作業にあたっているので,この名が規格の名称ともなっている。マルチメディア技術の進展に伴って開発され,ビデオ CDに対応し音声情報用の MP3を含む MPEG1,デジタルテレビ,DVDビデオディスク向けの MPEG2 (MPEG3を吸収) ,インターネットでの動画伝送などでさらに高性能な処理を可能とする MPEG4が規格化されている。なお,MPEG7,MPEG21はマルチメディア情報の著作権保護などのためにその内容について記述する方式を定めるもので,動画処理のための規格ではない。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報