半導体中に注入した少数キャリア(電荷担体)の信号をひとかたまりの電荷として、外部電圧によって結晶表面と平行の方向に転送できる素子。電荷移送素子、CCDともいう。1970年アメリカ、ベル研究所のウィラード・ボイルとジョージ・スミスによって発表された。この素子はトランジスタやダイオードと異なった動作機構をもつ。
電荷結合素子は、金属、酸化膜、シリコン(ケイ素)の三層構造のいわゆるMOS(モス)構造からできているので、電極としてアルミニウムや多結晶シリコン層を用い、MOS・IC(集積回路)の製造方法を用いてつくることができる。したがって、高集積化にはLSI(大規模集積回路)の技法をそのまま使うことができる。基本的な構造では、キャリアは結晶の表面に接して移動し、表面に接した部分に蓄積されるため、転送中に表面準位によってキャリアが失われやすい。そこで、表面に接しないで結晶中の転送ができるようにしたものが埋込みチャネル形である。この素子ではキャリアを転送するn形シリコン層と表面との間に1マイクロ~2マイクロメートルのp形層があるので、キャリアは表面に接することなく転送される。電荷結合素子は自己走査機能と光電変換機能をあわせもっているので、撮像デバイス用にもっとも適している。一次元ラインセンサー(リニアセンサー)用として5000~7000画素、二次元撮像(エリアセンサー)用として30万画素(640×480画素)~500万画素(2456×2058画素)がつくられており、最大2000万画素(5344×4008画素)のものもある。後者はビデオカメラ用として従来の撮像管に比べ、小型・軽量で電源も小さく、残像もなくて優れており、高精細度テレビ用として十分な性能をもつに至っている。また、電子計算機用大容量記憶素子として期待されている。そのほか、遅延線路やフィルターへの応用も行われている。
[右高正俊]
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