収録済みのビデオテープやビデオディスクなどのように、映像や音声の情報を収め、希望の時間、希望の場所等で再生して見られるようにしたもの。場合によっては、これらの映像や音声を記録、再生する技術全体をさすこともある。ビデオパッケージとして最初に発表されたのは、1967年アメリカCBS社のゴールドマークPeter Carl Goldmark(1906―1977)が開発したEVR(electronic video recording)である。これは、8.75ミリメートルのフィルムに輝度信号とカラー信号を並列的に記録して原版をつくり、これをプリントするものである。1969年にはRCA社からプラスチックテープ媒体にホログラフィー技術を応用して記録を行うホロテープHoloTape(別名セレクタビジョンSelectavision)が発表された。
ディスク(円板)状媒体を使うものとしては、1970年にテレフンケン、デッカ、テルデックの3社共同開発によるビデオディスクが発表された。これは、プラスチックディスクに機械的に凹凸をつくって映像信号を収録し、アナログレコードのように接触型のピックアップで再生するものであるが、実用化されることなく終わった。1978年(昭和53)に日本ビクター(現、JVCケンウッド)社からVHD(video high density)方式が発表された。これは溝なし静電容量方式とよばれ、凹凸の形で記録された信号を接触式のセンサーを使って静電容量変化として読み出すものである。1980年には日本のパイオニア社からレーザー光を利用するレーザービジョン(LV:laservision。商品名はレーザーディスク)が発表された。信号はFM(周波数変調)形式で記録され、レーザー光を使って非接触的に読み出すものである。この二つの方式によるビデオパッケージが多数タイトル発売された。VHDが脱落したのち独占的地位を占めたレーザーディスクは、その後もタイトル数を増やし、NTSC画質とステレオ音声による普通版のほか、ハイビジョン(HD:high definition)画質とサラウンド音声による高規格版も発売された。しかしアナログ記録の限界から、30センチメートル径という大きさを小型化することができず、低価格化も困難で、デジタル技術を使ったDVDの登場によって現役を退くことになる。現在ディスク状媒体の主力は、1996年に規格化・開発されたDVD、および1999年に規格化・開発されたブルーレイディスク(BD)で、多数タイトルのビデオパッケージが発売されている。
テープ状媒体では、アナログ時代、1975年にソニー社が商品化したベータマックスと、1976年に日本ビクター社が主導して商品化したVHSとがあり、それぞれの規格でビデオパッケージも多数タイトル発売された。ベータマックスが脱落してVHSに一本化された後もビデオパッケージの発売数は増えたが、テープ状媒体には、カセットがかさばることや、好きなところから再生を開始するランダムアクセス動作が困難であるといった難点があり、デジタル時代になるとふたたび使われることはなく、ビデオパッケージはすべてディスク状媒体になった。
ビデオパッケージに収録される内容は、単に娯楽的なものだけでなく、語学や経営など教養を主体としたものまで広い分野にわたっている。
[吉川昭吉郎]
家庭用ビデオテープレコーダーは,〈留守番録画〉や〈予約録画〉で視聴したい番組を見たいときに楽しんだり,ビデオライブラリーやビデオアルバムを作るのに利用するほか,趣味や教養のための録画済みソフトを購入して楽しむことも可能である。このソフトを楽しむことを徹底したのがビデオディスクである。このように,映像情報をテープやディスクなどの記録媒体にパックして配布することから,録画済みテープやビデオディスクをビデオパッケージと呼ぶ。
個人個人の多様な映像情報に対する要求を満たすための情報伝達手段として,現行テレビジョン放送,衛星放送,高品位テレビ放送など電波を利用するもの,CATV,キャプテンシステムなどケーブルを利用するものなどがあるが,ビデオパッケージはその中の一つの手段として位置付けられる。現在ではさまざまなビデオパッケージが存在する。テープを用いるVHSビデオカセット,光ディスクのレーザーディスク(LD),さらにディジタルビデオとしてオーディオCDを発展させたビデオCD,小型化長時間化を達成したDVDなどがある。
執筆者:横山 克哉
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