ブルーレイディスク(読み)ぶるーれいでぃすく(英語表記)Blu-ray Disc

翻訳|Blu-ray Disc

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ブルーレイディスク」の意味・わかりやすい解説

ブルーレイディスク
ぶるーれいでぃすく
Blu-ray Disc

CD(コンパクトディスク)、DVDに次ぐ第三世代の光ディスク。BDともいう。2002年(平成14)に日本国内の複数の企業とオランダフィリップス、韓国の三星(サムスン)電子などが共同でブルーレイディスクファウンダーズ(Blu-ray Disc Founders:BDF)という組織をつくり、第三世代の光ディスクの規格の審議を行った。その結果できた規格がブルーレイディスクである。ディスクのサイズはCD、DVDと同一であるが、高密度・大容量の記録が可能な青紫色レーザー光を使うことで、記録面が1層の場合は25ギガバイト、2層では50ギガバイトの記録ができる。これはDVDの5~10倍以上に相当する。

 読み出し専用のBD-ROM(ロム)(Blu-ray Disc Read Only Memory)はピットと金属反射膜を使う記録で、コンピュータやゲームなどのデータ、映画コンテンツなどを記録して供給される。映画の場合、映像はMPEG(エムペグ)2とよばれる方式で、また音声はドルビー・デジタルとよばれる方式(AC-3)などで圧縮されて記録される。著作権保護のため、コピー制限機能が付与される。映画ソフトの場合、さらにリージョンコード(Region codes)という符号が組み込まれ、三つに分けられた世界地域の一つの地域で購入したものは、他地域では再生することができない仕組みになっている。

 書き込み用のBDには、1回限り書き込み用のBD-R(Blu-ray Disc Recordable)と繰り返し書き込み可能なBD-RE(Blu-ray Disc Rewritable)の2種類があり、いずれも色素でつくられる反射膜が照射されたレーザー光によって相転移という状態変化を起こすことを利用してデジタルデータの書き込みを行う。基本的には、無機色素が用いられ、有機色素を使うDVDより安定である。後になって低コストの有機色素系ディスクも発売されたが、書き込みの速度が遅かったり、安定性に劣るなどの問題もある。無機色素系では、レーザー光照射による色素膜の状態変化が、反射率を高から低にするため、High to lowを略してHTLと書き、有機色素系では、レーザー光照射による状態変化が、反射率を低から高にするため、Low to highを略してLTHと書いて区別する。BD-RおよびBD-REはブランクディスク(未記入ディスク)の状態で供給される。1層構造の場合で、BS放送番組を130分、地上デジタル放送ならば180分の録画ができる。

 BDとDVDはディスクとしての互換性はないが、多くのBDレコーダーおよびプレーヤーは、DVDの録画・再生機能も備え、消費者は互換性を意識せずに利用できるようになっている。

 BD開発と同じころ、東芝と日本電気(NEC)が独自の規格HD DVD(High Definition DVD)を提案して2方式が争われたが、2008年HD DVDの撤退により第三世代の光ディスクはブルーレイディスク一本になった。

[吉川昭吉郎]

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知恵蔵 「ブルーレイディスク」の解説

ブルーレイ・ディスク

DVDの後継となる光ディスク規格。略称は「Blu-ray(ブルーレイ)」もしくは「BD」。サイズは、CDやDVDと同じく、直径12cmを基本としているが、記憶容量はより大きい。DVDの容量がハイビジョン品質の映像を記録するには不足していたことを主な理由とし、開発がスタートした。現在は、25GBおよび50GBのディスクが使われている。
データの読み込み・記録に、波長の短い青紫色レーザーを使っており、ディスクの光学的特性が大きく異なるため、ディスク規格自身には、CDやDVDと互換性はない。ただし、ほとんどのBlu-ray対応機器は、CDおよびDVDの再生・記録の機能を備えており、併用が可能となっている。
DVDから得られた教訓を元に、容量以外の点でも改良がなされている。違法コピーを防ぐため、DVDに比べ強固な著作権保護技術を採用している他、複雑だった「録画用/記録用ディスク」の規格を整理し、一度だけ記録できる「-R」と再利用可能な「-RE」の二種類のみとし、より簡単に使えるようになっている。
2002年、ソニー・松下電器産業・日立製作所・LG電子・パイオニア・フィリップス・サムスン電子・シャープ・トムソンの9社が業界団体「Blu-ray Disc Founders」(現Blu-ray Disc Association)を設立、製品化へ向けた協議を開始した。この際、DVDの規格化団体である「DVD Forum」とは別の団体としてスタートしたこと、また、DVD規格策定の中心企業であった東芝がメンバーに含まれなかったことから、次世代光ディスクの規格は分裂することとなった。東芝を中心としたグループは、Blu-rayとは異なる「HD DVD」という規格を提案、β対VHS以来の本格的規格分裂となった。
DVDに似た物理構造に青紫色レーザーを利用、ディスク製造コストは安いが容量は15GBから30GBと少なめ、という選択をしたHD DVDに対し、Bru-rayは、大容量化に有利となるよう、新技術を導入する、という選択を採った。両者の一番の違いは、データ記録層までを保護する「保護層」の厚み。HD DVDが、DVD同様の0.6mmであるのに対し、Bru-rayでは0.1mm。製造技術はより高度なものが必要となるものの、容量を増やしやすいのが特徴だ。これは、安価な1層ディスクを使った際にも、デジタルハイビジョン放送を2時間以上記録できるように、という狙いから作られたものである。現在は1層および2層のディスクのみが規格化されているが、4層・8層と記録層を増やす技術が研究中であり、HD DVDに比べ伸びしろは大きい。
両陣営の競争は苛烈を極めたが、08年2月、東芝がHD DVD事業の「終息」を発表したことで、規格は事実上一本化、本格普及を前に分裂状態は終了した。
Blu-rayが勝利した理由は「数」。東芝以外の家電メーカーがほとんど賛同したことに加え、ゲーム機である「プレイステーション3」に採用されたこと、各社がBlu-ray対応機器を積極的に販売したことなどから、東芝が孤軍奮闘するHD DVD陣営に比べ、対応機器の出荷量が多くなった。07年下半期以降、市場占有率が高くなっていった。その結果、08年1月、米映画配給大手のワーナーブラザーズが、08年6月以降、HD DVD向けの映像ソフトを供給せず、Blu-rayに一本化することを決断、ハリウッドの「Blu-rayシフト」が鮮明となったことが、最終的な決め手となった。
08年7月現在、日本国内ビデオレコーダー市場では、販売される製品のうち4割をBlu-ray搭載製品となっており(GfK Japan調べ)、急速に移行が進んでいる。映像ソフトの分野でも、特に洋画とアニメーションでは、DVDとBlu-rayが同時発売されることも多くなっている。

(西田宗千佳 フリージャーナリスト / 2008年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

IT用語がわかる辞典 「ブルーレイディスク」の解説

ブルーレイディスク【Blu-ray Disc】

記憶媒体のひとつ。ソニー、松下電器産業(現パナソニック)などが中心となり、次世代のDVDとして策定された光ディスク。有機色素材料や金属薄膜をポリカーボネートなどの保護層で挟んだ円盤状の構造を持ち、短波長の青紫色レーザーを用いてデータの読み出しと書き込みをする。記憶容量は直径12cmの場合、片面1層で25GB、片面2層で50GBと、DVDの約5倍。将来的にはより多層化した仕様も考えられている。HDTV相当の高画質映像の記録・再生、コンピューターや家庭用ゲーム機の記憶媒体として利用される。CDやDVDと同様に、読み出し専用のBD-ROM、一度だけ書き込みが可能なBD-R、繰り返し記録可能なBD-REなどの規格がある。◇略して「ブルーレイ」ともいう。また、頭文字から「BD」ともいう。

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ASCII.jpデジタル用語辞典 「ブルーレイディスク」の解説

ブルーレイディスク

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