ファミリーサポート(読み)ふぁみりーさぽーと

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ファミリーサポート」の意味・わかりやすい解説

ファミリーサポート
ふぁみりーさぽーと

同じ地域の住民同士が子育て有償援助する活動。正式名称はファミリー・サポート・センター事業で、略してファミサポとよばれる。市区町村設置・運営するファミリー・サポート・センターに、育児の援助(子供の一時的な預かりなど)を受けたい人が「依頼会員」、援助したい人が「提供会員」として会員登録し、同センターが両者の連絡、調整を行う。また、急用時には援助を受けたいが、時間があるときは子供を預かることができるという人は「両方会員」として登録することができる。提供会員になるためには、ファミリー・サポート・センターが実施する講習会に参加する必要がある。活動は、依頼会員がセンターに依頼して条件にあった提供会員を紹介してもらい、事前打ち合わせののち、相互了解のうえで行われる。料金は提供時間終了時に、時間数や時間帯、内容に応じて支払われる。自治体によって料金は異なるが、日中で1時間600~800円程度が多く、年会費を設けている自治体もある。また、ひとり親家庭に対しては助成制度を設けている自治体が多い。

 会員の互助活動が基盤になっているため、保育施設への送り迎え冠婚葬祭などの急な外出時や保護者が病気になったときなど、状況に即したきめ細かな対応ができる利点がある。早朝夜間などに、病児や病後児を緊急に預かることができるよう、対応している地域もある。なお、対象となる子供の年齢は自治体により異なるが、生後3か月程度から小学6年生までとしているところが多い。活動中の事故などに備え、保険への加入が必要であるが、保険料はセンターが負担する。

 1994年(平成6)、労働省(現、厚生労働省)の補助事業として開始され、2014年度(平成26)からは保育緊急確保事業として実施されている。2013年度末時点で、実施自治体は738(そのうち、病児や緊急の預かりに対応可能な市区町村は142)、全国の会員登録者数は、依頼会員46万6287人、提供会員12万3173人となっている。

[編集部]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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