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フェロモン フェロモン pheromone

翻訳|pheromone

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

フェロモン
フェロモン
pheromone

動物がつくりだして,体外に分泌,放散する微量物質であって,他個体の行動や生理条件に働きかけて変化させる物質。昆虫で,多くの例が特によく研究されている。行動に対し即座の効果を有するいわゆるリリーサー・フェロモン (性フェロモン

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知恵蔵2015の解説

フェロモン

動物体内でつくられ、同種の他個体になんらかの情報を伝達する比較的低分子の有機物質の総称。多くの動物で知られるが、とくに昆虫で重要な役割を果たしている。性フェロモンや道しるべフェロモンのように受け手の行動を解発するリリーサーフェロモンと、女王バチの出す女王物質のように受け手に生理的変化を引き起こすプライマーフェロモンとがある。

(垂水雄二 科学ジャーナリスト / 2007年)

出典|(株)朝日新聞出版発行「知恵蔵2015」
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デジタル大辞泉の解説

フェロモン(pheromone)

《刺激を運ぶものの意》動物の体内で産生されて体外へ放出され、同種の他個体の行動や生理状態に影響を与える分泌物質の総称。多くの昆虫の性フェロモン、アリ・ミツバチの警報フェロモンなどがある。

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百科事典マイペディアの解説

フェロモン

同種内の動物個体間で情報伝達に使われる生理的活性物質の総称。一般に揮発性の高い化合物で,きわめて微量で有効。解発(リリーサー)フェロモンと起動(プライマー)フェロモンがある。
→関連項目繁殖期ホルモン誘引物質

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栄養・生化学辞典の解説

フェロモン

 動物が作る物質で,体外に放出されて同種の他の個体の行動に影響を与える物質.昆虫の性行動に影響する性フェロモンのほか,集合フェロモン,警報フェロモンなどが区別されている.比較的低分子の有機化合物で,種特異的かつ微量で有効という特徴がある.

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世界大百科事典 第2版の解説

フェロモン【pheromone】

動物界には,行動や発育を制御する化学物質が数多く存在している。その中でもっともよく知られているのがホルモンで,これは動物体内で生産,分泌され,さまざまな機構を介してその個体の正常な発育を調節するものである。それに対し,フェロモンは,同じように動物体内で生産されるが〈体外へ分泌された後に,同種の他の個体によって受けとられ,受けとった個体(受容者)に一定の行動や発育過程の変化といった特異な反応をひき起こす物質〉である。

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大辞林 第三版の解説

フェロモン【pheromone】

動物の体内で生産され体外へ分泌放出して同種個体間に特有な行動や生理作用を引き起こす有機化合物。多くはにおい刺激として受容される。仲間に危険を知らせる警報フェロモン、異性を呼びよせる性フェロモンなどがある。昆虫や哺乳類でよく知られている。 → 集合フェロモン性フェロモン

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

フェロモン
ふぇろもん
pheromone

動物の個体が体外に放出し、同種の他個体の行動や発育、分化そのほかの生理的状態に変化をおこす効果をもつ物質の総称で、典型的な誘引物質の一つ。体内で分泌され同じ体内で作用するホルモンと異なり、個体間での情報伝達に働く点にフェロモンの特徴がある。ガの雄が遠くから雌にひかれて集まる現象は19世紀に書かれたファーブルの『昆虫記』にもすでに記載されているが、それが雌の分泌する信号物質によるということが、ブーテナントによってカイコガで実証されたのは1959年である。同年、カールソンP. KarlsonとリューシャーM. Lscherによって、このような個体間信号物質にフェロモン(刺激を運ぶものという意味の造語)という一般名を与えることが提唱された。フェロモンは通常、適度の揮発性をもち、空気中に拡散して他個体の嗅覚(きゅうかく)器に受容され、きわめて微量で効果を及ぼす。たとえば、カイコガの雌の腹部分泌腺(せん)から分泌されて雄を誘引するフェロモン(ボンビコール)は、空気1ミリリットル当りわずか200分子の濃度で雄の顕著な接近行動を引き起こすことが確かめられている。
 例外的には接触化学感覚(味覚など)を介して働くものもある。昆虫で多くの例が知られているが、ほかの動物にも広く存在し、物質の化学構造や作用も多岐にわたっている。相手に受容されるとただちに行動に影響をもたらすリリーサー効果と、生理的変化をおこすプライマー効果とに分けることができるが、同じフェロモンが両方の効果を示す場合もある。ここではおもに誘引性のフェロモンについて述べる。
 リリーサー効果をもつフェロモンとしては、異性の認知および性行動を支配する性フェロモン(昆虫、哺乳(ほにゅう)類など)、仲間に危険を知らせる警報フェロモン(アリ、ハチなど)、食物や巣の場所を知らせる道しるべフェロモン(アリ、ハチ)などがある。[木村武二]

性フェロモン

性誘引物質ともいい、個体から放出された物質が同種の異性個体を誘引する。雄が放出して雌を誘引する物質(ジャノメチョウなどで研究されている)もあるが、雌が放出して雄を誘引する例のほうが多い。多くの昆虫で有効物質の単離・同定がなされているほか、魚類、両生類、爬虫(はちゅう)類、哺乳類でも性フェロモンの存在がさまざまな種で証明されている。物質の化学構造は種によって異なっていて、通常は同種の個体間でのみ信号として働く。このことを応用して、特定の昆虫(農業害虫や森林害虫)のフェロモン物質を用いて誘引・捕殺する誘引剤として利用したり、発生状況の検査に役だてている例もある。天然の性フェロモンのほかに、類縁化合物や植物成分のなかにも性誘引効果をもつ物質が知られていて、これらも性誘引物質とよばれている。[木村武二]

集合フェロモン

同種の個体を性に関係なく誘引して集団を形成する働きのある物質をいう。キクイムシ、ダニ、ゴキブリなどで研究されている。[木村武二]

警報フェロモン

アリやハチでは危険を感じた個体が放出して仲間を招集する。これは一種の誘引物質といえよう。これに対して魚類の警報フェロモンのようにそれを感じた仲間が逃げ散るような場合は誘引とは逆の効果となる。[木村武二]

道しるべフェロモン

ミツバチが巣の場所を仲間に教えたり、アリが餌場(えさば)への道筋を教えるフェロモンも一種の誘引物質である。[木村武二]

その他のフェロモン

プライマー効果をもつフェロモンには、ミツバチの女王物質のようにほかの個体の生殖能力を抑える階級分化フェロモンや、ハツカネズミの雄が分泌して雌の性成熟や発情を促す物質が含まれる。プライマー効果はこれらの生理的変化を通じ行動にも影響を及ぼす。[木村武二]

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世界大百科事典内のフェロモンの言及

【社会性昆虫】より

…ミツバチについていえば,最高の空間利用をしめす六角形の巣室,餌のある方角と距離を仲間に伝える収穫ダンス,貯蔵食餌(蜜と花粉)の防腐防菌処理,完璧な温度調節能(巣の中心温度は外気より10℃以上も高く,かつ1~2℃しか変化しない),外敵を刺して死ぬことで防御力を高める特攻隊機構(刺してちぎれた針から揮発する酢酸イソアミルで仲間が刺激され,刺す行動を倍加させる)など,ワーカーの示す能力は動物にみられる行動の中でひときわ目だった完成度に達している。一方女王も産卵のほかに極微量で有効なフェロモンを分泌し,雌であるワーカーたちの卵巣発達をおさえ,また時期はずれに次代女王室をつくる行動を抑制している。このような事実が知られる以前から,人間はハチやアリのコロニーにおける一見みごとな統合ぶりに注目し,あるいは絶対君主制に,または完全な共産制になぞらえたりした。…

【におい(匂い∥臭い)】より

…哺乳類ではサインとしてのにおいは,臭腺,肛門腺,あしゆびの汗腺などでつくられて分泌される。近年ではこのように動物の体内でつくられ,分泌されたときに他個体に特異的な反応をひき起こす化学物質をフェロモンと呼ぶようになった。フェロモンは昆虫でよく研究されており,単にサインとしてだけでなく,他個体の成長を支配するようなフェロモンの存在がシロアリやハチなどで知られている。…

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