フッ化酸素(読み)フッカサンソ

化学辞典 第2版 「フッ化酸素」の解説

フッ化酸素
フッカサンソ
oxygen fluoride

】二フッ化酸素(oxygen difluoride):OF2(54.00).フッ素を水酸化ナトリウム水溶液にゆっくり通すと得られる.室温では無色の特有臭のある気体.F-O-F折れ線形構造.密度2.19 g cm-3(液体).O-F約1.418 Å.∠F-O-F約103.2°.融点-223.8 ℃,沸点-145 ℃.125 ℃ までは安定である.比較的安定で冷時はガラスを侵さない.室温ではCH4,COなどと混合しうるが,これらの混合気体は点火すると爆発的に反応する.室温でも Cl2,Br2 とは爆発的に反応する.HX(X = Cl,Br)では,HFと X2 になる.水に微溶,加水分解は遅いが,アルカリ性水溶液では加速され,フッ化物と O2 になる.多くの金属,非金属と反応してフッ化物をつくる.Xeとの混合気体で放電するとXeのフッ化物,フッ化酸化物を生じる.酸化剤,ロケット燃料などに用いられる.有毒.[CAS 7783-41-7]【】二フッ化二酸素(dioxygen difluoride):O2F2(70.00).低温・低圧下,酸素とフッ素との混合気体中で,高圧放電すると得られる.F-O-O-F型構造.F-O1.575 Å,O-O1.217 Å.∠F-O-O約109°.両側のF-O-O面間の二面角約88°.融点-163.5 ℃,沸点-57 ℃.反応性が大きく(フッ素化,酸化反応),不安定で分解しやすい(-50 ℃ で半減期約3 h で O2 と F2 になる).Xeと反応してフッ化物をつくる.[CAS 7783-44-0]【】一フッ化二酸素(dioxygen monofluoride):O2F(51.00).酸素と原子状フッ素Fとの反応により生成する.O-O-F型分子と考えられる.水と反応してHFと O2 になる.[CAS 15499-23-7]

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

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