COD(chemical oxygen demandの略)ともいう。水中の有機物と反応する酸化剤の消費量を酸素当量に換算してmg/lあるいはppm(1mg/l≒1ppm)単位で表示したもので,主として有機物による水質の汚染の指標として用いられる。日本では酸化剤として過マンガン酸カリウム(COD Mnとも表示),欧米では重クロム酸カリウム(COD Crとも表示)を使用,一般にCODCr値のほうがCOD Mn値より高くなる。COD値が高いほど有機汚染が進んでおり,COD Mnで都市下水は約50~100mg/l,生屎尿(なましによう)7000mg/l程度で,工場廃水の場合は含まれている成分によって大きく変化する。
水の有機物汚染を示す指標には,このほかに生物化学的酸素要求量(BOD。biochemical oxygen demandの略),全酸素要求量(TOD。total oxygen demandの略),全有機性炭素量(TOC。total organic carbonの略)がある。TODは,試料水を高温白金触媒下で燃焼させ,それに必要とした酸素量を直接測定するもので,酸化剤を用いる場合より完全な酸化が行われるため,CODよりも高い(正しい)値を示す。COD,TODとBODは共通して酸素量で表示されることから,値の大小を直接比較することによって,有機物の性質がある程度わかる。すなわち,BOD値は微生物によって分解可能な有機物を測定したものであるから,BODと,CODやTODとの比が高ければその水は生物分解可能な有機物を多く含み,逆に低ければ難生物分解性物質を多く含むことを意味する。TOCは,試料水中の有機物を高温コバルト触媒下で燃焼させ,発生した炭酸ガス量を測定して求めるもので,有機物の炭素分に着目した有効な測定法である。
執筆者:松井 三郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
略称COD.生化学的酸素要求量(BOD)とともに水の汚染度を示す指標とされている.水中の有機性物質を酸化する際に消費される酸化剤の量を酸素量に換算したものをいい,湖沼,排水中の有機汚濁物質量を示す代表的な指標である.単位は ppm あるいは mg L-1.数値が大きいほど,有機汚濁物質量が多いことを示す.酸化剤としては,過マンガン酸カリウムKMnO2あるいは二クロム酸カリウムK2Cr2O7が用いられる.JIS水質検査法では,100 ℃,30 min における過マンガン酸カリウムの消費量を酸素消費量に換算した値をCODとして示す.測定は,試料水へ過マンガン酸カリウムの一定過剰量を加え,酸性にした後,沸騰水浴中で30 min 加熱する.ついで残留している過マンガン酸カリウムにシュウ酸ナトリウム一定量を加え,還元脱色し,さらに過マンガン酸カリウム溶液で逆滴定して,過マンガン酸カリウムの消費量を求める.水中の有機性物質としては,炭素質は比較的酸化されやすいが,窒素質は酸化されにくい.湖沼,海域では環境基本法にもとづき1~8 ppm の基準値が定められている.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
(杉本裕明 朝日新聞記者 / 2007年)
出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報
… 富栄養化によりもたらされる水質や水生生物の変化は,水域を利用する人間に不利益をもたらすことが多い。とくに植物プランクトンの増殖は有機汚濁度の指標としてのCOD値(化学的酸素要求量)を高め,またその分解で水中の溶存酸素の低下を招くので,水質の有機汚濁化の一つとみなされることもある。 富栄養化の進行にあずかる栄養塩のうち最も重要なものは,窒素とリンである。…
※「化学的酸素要求量」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めるイプシロンSよりもさらに小さい。スペースワンは契約から打ち上げまでの期間で世界最短を...
12/17 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
11/21 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
10/29 小学館の図鑑NEO[新版]動物を追加
10/22 デジタル大辞泉を更新
10/22 デジタル大辞泉プラスを更新