ブロック(Marc Bloch)(読み)ぶろっく(英語表記)Marc Bloch

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

ブロック(Marc Bloch)
ぶろっく
Marc Bloch
(1886―1944)

フランスの歴史家。リヨンに生まれる。パリの高等師範学校(エコール・ノルマル・シュペリュール)で学んだのち、モンペリエアミアンの高校教授を歴任。第一次世界大戦に従軍する。1919年ストラスブール大学の教授に就任、中世史の講義を担当する。翌20年『王と農奴』により文学博士を得る。24年『奇蹟(きせき)を行う王』を著す。29年リュシアン・フェーブルとともに『社会経済史年報』を創刊する。31年『フランス農村史の基本性格』により名をあげ、37年にパリ大学教授となる。40年に大著『封建社会』を刊行、フランス史学界の重鎮となる。中世時代の政治、経済機構や法制体系にとどまらず、膨大な年代記、古文献を渉猟(しょうりょう)して、社会生活と個人の精神活動のすべてを再構成しようとした本書は、まさしく「全体史」とよばれるにふさわしい。第二次大戦中、フランスの敗北後レジスタンス運動に参加、ドイツ軍に捕らえられ、1944年6月16日銃殺された。遺著として第二次大戦の経験を記した『奇妙な敗北』(1946)、『歴史のための弁明』(1949)などがある。

[金澤 誠]

『河野健二・飯沼二郎訳『フランス農村史の基本性格』(1959・創文社)』『新村猛・森岡政一郎訳『封建社会』1・2(1973、77・みすず書房)』『讃井鉄男訳『歴史のための弁明』(1956・岩波書店)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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