ブロモベンゼン(読み)ぶろもべんぜん(その他表記)bromobenzene

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ブロモベンゼン」の意味・わかりやすい解説

ブロモベンゼン
ぶろもべんぜん
bromobenzene

ベンゼン置換体の一つ。ベンゼン環に結合している水素原子1個を臭素原子で置換したもの。無色で芳香性の液体。水に不溶、ヘキサンクロロホルム、ベンゼン、アルコールなどの有機溶媒可溶皮膚刺激性で、蒸気吸入は習慣性中毒のおそれがある。ベンゼンに少量の鉄粉を加え、臭素を徐々に加えて反応させ、分留すれば得られる。

  2Fe+3Br2―→2FeBr3
  FeBr3+Br2―→Br+[FeBr4]-
  C6H6+Br+―→C6H5Br+H+
 有機合成では、金属マグネシウムと反応させてフェニルマグネシウムブロミドに変え、フェニル化剤として用いることが多い。種々のカップリング反応にも用いられる。

[加治有恒・廣田 穰 2015年7月21日]


ブロモベンゼン(データノート)
ぶろもべんぜんでーたのーと

ブロモベンゼン

 分子式 C6H5Br
 分子量 157.0
 融点  -30.6℃
 沸点  156.15℃
 比重  1.4953(測定温度20℃)
 屈折率 (n)1.5597

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

化学辞典 第2版 「ブロモベンゼン」の解説

ブロモベンゼン
ブロモベンゼン
bromobenzene

C6H5Br(157.02).ベンゼンに鉄などの触媒とともに臭素を作用させると得られる.液体.融点-31 ℃,沸点155~156 ℃,43 ℃(2.4 kPa).1.4991.1.5625.エタノールエーテルに可溶.ベンゼン,石油系炭化水素などとまざる.臭化ベンゼンマグネシウムはグリニャール試薬として,各種のベンゼン誘導体の合成に使われる.そのほか溶剤に用いられる.高濃度では麻酔性があり,皮膚を刺激する.[CAS 108-86-1]

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

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