改訂新版 世界大百科事典 「プランケット」の意味・わかりやすい解説
プランケット
Horace Curzon Plunkett
生没年:1854-1932
アイルランドの農業協同組合運動の先駆者,政治家。第13代ダンセーニ男爵の次男に生まれ,イートン校とオックスフォード大学で学んだ後,肺を患い,療養のため10年間アメリカのワイオミングで牧場経営を行った。1889年帰郷,アイルランド農業の遅れを克服すべく,南部の酪農家を中心に協同組合づくりをはじめた。94年にはアイルランド農業組織協会を結成し,乳製品・家禽・鶏卵の共同出荷,農業信用銀行の設立などを推進した。このころ彼の片腕として理念の普及に尽力したのが文学者G.W.ラッセル(筆名AE)である。プランケットはアイルランドのイギリスからの分離独立には反対していたが,1922年成立したアイルランド自由国の上院議員に選ばれた。翌年,ナショナリストに邸を焼打ちされ,以後イギリスに移り,アイルランドに戻ることなく生涯を終えた。
執筆者:上野 格
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報