改訂新版 世界大百科事典 「プルケリア」の意味・わかりやすい解説
プルケリア
Pulcheria Aelia
生没年:399-453
ローマ帝国東帝アルカディウスの長女。祖父テオドシウス1世が築いた王朝と,彼が国教とした正統派キリスト教の護持に意を用い,自らと妹たちに禁欲生活を課し,弟テオドシウス2世にも宗教教育・帝王学を授ける。414年アウグスタ位を授与され,東ローマ政府内で大きな影響力を振るった。423年弟帝の結婚に際し宮廷から別邸に移ったが,皇妃エウドクシアとしばしば対立しながらも,貧者救済,教会建立,マリア信仰の後援などで人望を集め,政治面,とくに教会政策への影響力を保持した。439年ころからその勢力は宦官クリュサフィウスに抑えられたが,弟帝の死後,王朝維持のためマルキアヌスと形式的に結婚,夫に影響力を振るって451年のカルケドン公会議を指導した。死後聖人に列せられた。
執筆者:後藤 篤子
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報