ベルナルドゥス・シルウェストリス(読み)べるなるどぅすしるうぇすとりす(英語表記)Bernardus Silvestris

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

ベルナルドゥス・シルウェストリス
べるなるどぅすしるうぇすとりす
Bernardus Silvestris
(?―1153ころ)

中世フランスの作家、哲学者。生涯については不明であるが、その寓意(ぐうい)物語『大宇宙と小宇宙』Megacosmus et microcosmus(1145~1148)、別名『世界について』De mundi universitateあるいは『宇宙形状誌』Cosmographiaは、中世からルネサンスにかけて広く流布した。原初混沌(こんとん)から宇宙の形成、地誌と自然描写、天空飛行と人間の創造などを想像力豊かに描くこの特異な寓意神話には、当代の学知がすべて歌い込まれている。自然賛美、自然人としての人間の尊厳、生ける自然(大宇宙)と人間(小宇宙)との調和が際だった特色で、全体の色調はきわめて明るい。

[柏木英彦 2015年2月17日]

『柏木英彦著『中世の春』(1976・創文社)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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