音楽において、異なる時間語法を複数の声部が同時に応用するときに達成される全体のリズム効果をさす用語。一連の関連する概念があり、それらを総称したり、部分的に意味が重複する概念として使われ、その認知は当該文化のリズム現象のとらえ方によって異なってくるため、あいまいな面をもっている。たとえば、ポリリズムの一現象であるポリメトリックpolymetricには、〔1〕同拍値によるポリメトリックと、〔2〕異拍値によるポリメトリックの2種がある。前者は拍の値が同一でありながら異なる拍群法(グルーピング、拍子)が複数の声部間に聞かれる場合で、狭義のポリメトリックとよばれる。後者は異なる拍値が支配的で、同拍子の場合と異拍子の場合があり、ヘミオリアhemiolia(ヘミオラ)とよばれることが多い。前者の例は15~16世紀にかけてのヨーロッパの多声音楽に典型的にみられ、後者はショパンのピアノ曲での右手と左手の使い分けに利用される例がある。これらの作曲技法は20世紀のいわゆる現代音楽では、合奏・独奏を問わず頻繁に使われている。また、この二つを混用してさらに立体的な音響世界を築くアフリカ(とくに西アフリカ)の合奏はポリリズムの典型とされ、クロスリズムcross-rhythmともよばれる。クロスリズムは、もっと簡単に声部間でリズム型を交代ないし交差させることを意味する場合もあるし、総称的にポリリズムと同義語とされることもある。
[山口 修]
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