政治において目的を達成するためには手段を選ばぬ権謀術数をさす。一般にこうした権謀術数は古今東西にわたってみられるものであるが、それがマキャベリズムとよばれるようになったのは、マキャベッリの作品、とくに『君主論』がきわめて大胆にこうした所説を認めているとみなされたからである。マキャベッリは、君主が善良で敬虔(けいけん)、慈悲深い人間であることは称賛すべきであるとしつつも、人間の現実をみるならば、もしこの理想のままにふるまうならば、そうした君主はかならずや没落するだろうと論じた。プロイセンのフリードリヒ大王は『反マキャベッリ論』(1740)を書きその反人道性を批判したが、大王自身は実際にはマキャベリズムを駆使したといわれる。マキャベリズムの問題はけっしてマキャベッリ一個人の思想に限定されるものではなく、人間にとって重大な倫理的問題を突きつけている。したがって問題をごまかすことなく直視することがたいせつである。
[佐々木毅]
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