日本大百科全書(ニッポニカ) 「マクニース」の意味・わかりやすい解説
マクニース
まくにーす
Louis MacNeice
(1907―1963)
イギリスの詩人。北アイルランドに生まれる。オックスフォード大学で古典、哲学を学び、在学中にW・H・オーデン、S・スペンダーと親交を結んで、新詩運動の中心人物の一人となった。しかし急進的な立場をとることなく、つねに穏健な知性派で、冷静な人生の観察者の姿勢を崩すことがなかった。第二次世界大戦後、初期の作品にみられた政治的、社会的関心にかわって、内省的な基調が強くなるにつれ、徐々に円熟した詩風を示すようになった。第二次世界大戦中にBBCの放送用脚本作家となり、放送劇『クリストファー・コロンブス』(1944)などを発表し活躍した。おもな詩集に『詩集』(1935)、『秋の帰結』(1954)、『来訪』(1957)などがある。またオーデンとの共著『アイスランドからの手紙』(1937)のほか、評論『現代詩』(1938)や『W・B・イェーツの詩』(1941)、ゲーテ『ファウスト』の韻文訳(1951)などがある。
[富士川義之]
『加島祥造訳『世界名詩集大成10 詩集1936』(1959・平凡社)』