家庭医学館 「ミクリッツ症候群」の解説
みくりっつしょうこうぐん【ミクリッツ症候群 Mikulicz Syndrome】
両側の耳下腺(じかせん)、顎下腺(がくかせん)、涙腺(るいせん)に慢性の痛みのない腫(は)れができる病気です。
白血病(はっけつびょう)(「白血病とは」)、悪性リンパ腫(しゅ)(「悪性リンパ腫」)、サルコイドーシス(「サルコイドーシス」)、木村病(軟部好酸球肉芽腫症(なんぶこうさんきゅうにくげしゅしょう))、シェーグレン症候群(「シェーグレン症候群」)などが基礎にあっておこるものと、病気の本体を明らかにできないものとがあります。
病気の本体を証明できないものはミクリッツ病ともいい、シェーグレン症候群とちがって男性にも多くみられ、経過をみている間に症状が消えることもまれではありません。
白血病、悪性リンパ腫が原因のときは発熱、全身倦怠感(ぜんしんけんたいかん)、強い口内乾燥がみられることがあります。両側対称的な耳下腺、顎下腺、眼瞼部(がんけんぶ)が腫れる、特徴的な顔貌(がんぼう)から診断できます。
[治療]
さまざまな検査で病気の全身的な広がりを確かめる必要があります。耳下腺、頸部(けいぶ)リンパ節の試験切除による組織診断も行なわれます。
基礎疾患が明らかになれば、その治療を行ないます。基礎疾患が不明の場合は、非ステロイド抗炎症薬を用い、経過を観察します。
悪性リンパ腫に変化する可能性があるので、定期的な検査が必要です。