日本大百科全書(ニッポニカ) 「ミクリッツ病」の意味・わかりやすい解説
ミクリッツ病
みくりっつびょう
Mikulicz' disease
両側の涙腺(るいせん)や唾液(だえき)腺(耳下(じか)腺、顎下(がくか)腺)にリンパ球が浸潤して痛みを伴わない持続性の腫脹(しゅちょう)がみられる、良性で慢性に経過する疾患。免疫グロブリンG(IgG)の関与が疑われる自己免疫疾患と考えられているが、原因は明らかになっていない。ドライマウスやドライアイなどシェーグレン症候群に似た症状も呈するが、その程度は軽度である。長年にわたってシェーグレン症候群の一型とされてきたが、独自の免疫性疾患とも考えられている。自己免疫性膵(すい)炎、自己免疫性下垂体炎、間質性腎(じん)炎などをしばしば合併し、男女差は認められない。悪性リンパ腫など明らかな基礎疾患をもつものはミクリッツ症候群として扱われる。
診断法も確立していないが、シェーグレン症候群と違って、副腎皮質ステロイド薬による薬物治療により腺の腫脹が著しく改善されることが特徴である。
[編集部]