1927年,アメリカのディズニーが生み出した漫画映画シリーズの主人公であるネズミ。登場第1作は《飛行機クレージーPlane Crazy》(1927)だが,公開は2作目の《蒸気船ウィリー号Steamboat Willie》(1928)が最初となった。不況時代の青年ディズニーが飼っていたネズミからヒントを得たといわれるこのキャラクターは,最初モーティマーMortimerという名だったが,夫人の進言でミッキーに変えられたといわれる。はじめは白目なしの目玉piecut eyesをもち,短ズボンからしっぽを出していたが,30年代の末ごろから白目もでき,服を着てネクタイを締め,しっぽもなくなるという紳士化への道をたどって現在に至っている。初期のフロンティア・スピリットに満ちた小ネズミの果敢な冒険ぶりは,その声をみずから演じていたディズニー自身の姿でもあっただろう。40年の長編《ファンタジア》でのミッキーは彼の活躍のハイライトでもあった。誕生50年を超えたミッキーは,ディズニー・プロのシンボルである。
執筆者:小野 耕世
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
アメリカのディズニー漫画映画のキャラクター。黒くて円い耳と大きな白靴が特徴のネズミで、いかなる危機にもコミカルに立ち向かうかわいい勇敢さによって子供たちのアイドルとなった。『飛行機マニア』(1928)でデビューしたが、フィルム式トーキー第1作『蒸気船ウィリー号』(1928)のほうが先に封切りになった。『ミッキーの魚釣り』(1953)まで120本のシリーズがつくられ、プルート、ドナルド・ダック、グーフィなどのキャラクターも、ミッキーの共演者から一本立ちしていった。最初は黒つぶしだった目に1939年から白目が加えられ、50年には太い眉(まゆ)まで生えるというように擬人化が進むにつれて、往年の愛らしい機知と行動力もしだいに薄れていった。しかしいまなおディズニーのシンボルマーク的な大スターである。
[森 卓也]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
出典 日外アソシエーツ「367日誕生日大事典」367日誕生日大事典について 情報
…セル・アニメの開発も早く,したがって企業化も早かった。その中でW.ディズニーは,アブ・アイクークスの協力を得て永遠のキャラクター,ミッキー・マウスを創造,その主演第4作《蒸気船ウィリー号》(1928)が世界最初のトーキー・アニメとなった。ディズニーはまた,世界最初のテクニカラー(三色法)によるアニメーション《花と木》(1932。…
…ミズーリ州の農園で育ち,カンザス・シティやシカゴでさまざまな仕事をしながら漫画を学んだ後,1923年,ロサンゼルスに出て兄ロイとともに当時まだほとんど未開拓のアニメーション映画を作る会社を組織,26年にかけて,俳優と漫画を織りまぜた《漫画の国のアリス》《うさぎのオズワルド》などのシリーズを製作した。28年,ミッキー・マウスを登場させた《飛行機クレージー》を製作,同年,最初のトーキー・アニメーション映画《蒸気船ウィリー号》(封切は前作より早い)により,映画事業の鉱脈を掘り当てた。ミッキーは広範な人気を獲得,やがて新聞や雑誌にも進出した。…
※「ミッキーマウス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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