翻訳|medium
一般に〈中庸〉〈媒体〉などを意味するが,造形芸術の用語としては以下のように限定した意味で使われる。(1)絵具の成分のうち顔料と練り合わせ,その均質な分散や接着を助けるために働くもの。展色剤vehicleともいう。おもなものは接着剤として働く固形成分(アラビアゴム,ダンマル樹脂,アクリル樹脂など),溶媒(水,乾性油など),増粘剤,界面活性剤などである。油絵具では乾性油が接着成分兼溶媒になる。(2)絵具の使用者が好みによって,透明感や光沢の変更,絵具の増量,乾燥速度の調整などのために絵具に添加して用いる液体またはペースト状のもの。添加しても絵具の接着力は落ちない。顔料を増したり異物を混入するときにも用いる。成分は絵具の展色剤とほぼ同一であるが,増粘剤,樹脂,体質顔料などの量が多い。
なお,作品制作の構成要素となる素材material(たとえばコラージュの場合の新聞切抜きや,ラウシェンバーグの作品のアンゴラヤギの剝製なども含まれる),あるいは手段,技法(ミディアムと表記することがある)を示す場合もいう。
執筆者:森田 恒之
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
…謝意の贈物,身ぶり,音声,あるいは文字などの事物的パターンを媒介にして表出されるほかない。これらの媒体がメディアmediaであり,この語は人間と神との媒介者である霊媒の英語名medium,さらにその複数形のmediaに由来する。現代では,身ぶりや音声ばかりでなく,文字とさらにその担体である印刷物や電波など,その幅はきわめて広くなっており,そのうち新聞,雑誌,ラジオ,テレビなど,マス・コミュニケーションの媒体をマス・メディアという。…
…あとは切身の肉質や厚さによって火の強さを調節して,好みの焼きかげんに仕上げる。焼きかげんは,ふつうレアrare,ミディアムmedium,ウェルダンwell‐doneの3段階とする。レアは,外側は焼けているが中はまだ生の状態,ミディアムは中程度に火が通り,中央に生の部分が残っている状態,ウェルダンはよく焼けて中まで火の通っている状態である。…
…大衆媒体,大量媒体ともいう。媒体media(メディウムmediumの複数形)とは,もともとは〈中間にあるもの〉または〈中間〉を意味した。神と人との中間にいてなかだちをする〈みこ〉〈霊媒〉〈預言者〉なども含まれる。…
…超自然的(霊的)存在と人間とを直接媒介することが可能な人物。個人的,私的にこうした能力をもつ人物と,その能力を利用して呪術・宗教的役割を果たす人物とが存在する。霊媒の特徴は,意図的にみずからを通常意識の変異状態(トランスとかデソシエーションと呼ばれる)に置き,その間に超自然的存在が当人の身体中に入りこみ,人格が超自然格(霊格)に転換するとみられる点にある。したがって霊媒の言動は〈われは某々の神(霊)である〉との第一人称的形式をとるのが常である。…
※「メディウム」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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