コラージュ(読み)こらーじゅ(英語表記)collage フランス語

日本大百科全書(ニッポニカ) 「コラージュ」の意味・わかりやすい解説

コラージュ
こらーじゅ
collage フランス語

現代絵画技法の一つ。本来「糊(のり)付け」を意味するが、1912年にピカソやブラックが画面上に種々のものを貼(は)り付けたこと(パピエ・コレ)に始まる。現実の物体の導入という画期的な技法の発明であり、キュビスムではまだ紙などを貼り付けるだけで、二次元の絵画からはみだすことはなかった。しかし次いでダダのクルト・シュビッタース、ラウール・ハウスマン、マン・レイら、イタリア未来派のカルロ・カッラ、ジーノ・セベリーニら、シュルレアリスムマックスエルンスト、ホアン・ミロらがさまざまな物体を寄せ集めて立体的な作品を実現するに至り、コラージュ概念は拡大され、これが第二次世界大戦後のアッサンブラージュにまでつながってゆくことになった。コラージュは20世紀美術技法上最大の発明の一つで、美術ばかりでなく写真やデザインなどの分野にも多大の影響を与えているが、なによりも現実の物体の導入によって従来の美術作品の概念を根底から変えた点に、最大の意味が求められる。

[千葉成夫]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「コラージュ」の意味・わかりやすい解説

コラージュ
collage

絵画用語。「貼りつけ」を意味するフランス語。画面に印刷物,布,針金木片,砂,木の葉などさまざまなものを貼りつけて構成する絵画技法,あるいはこのような技法によって制作された作品をさす。 19世紀にパピエ・コレが考えられ,1912~13年頃ピカソ,ブラックなどがこれを発展させ,キュビスムを深めた。キュビストたちは純粋に画面の美的構成の手段として始めたが,ダダイスト,シュルレアリストたちは画面のなかに唐突な物をおき,異質の物を組合せることにより,比喩象徴,幻想など意想外の効果を生み出した。 19年頃の M.エルンストや H.アルプの作品は以来コラージュと呼ばれるようになった。そのほかのコラージュ作家は,多くの「メルツ」絵画を制作した K.シュウィッタースである。 60年代のポップ・アートの主要な一形式となる。

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