改訂新版 世界大百科事典 「メリヤス編機」の意味・わかりやすい解説
メリヤス編機 (メリヤスあみき)
knitting machine
メリヤス(ニット)生地またはメリヤス製品を編む機械の総称で,普通は工業用の編機をさす。メリヤス編機は表に示すように,緯(よこ)編機と経(たて)編機とに大別される。緯編機は,編糸が針(メリヤス針)に対して直角の方向から供給され,緯方向に編目を編成していくもので,できた編目を順次経方向につづっていくので編糸の本数は少なくてすむ。これに対して経編機は,1本の編糸が経方向に連続して編目を編成していくもので,幅方向の編目の数だけ編糸の本数が必要となる。家庭用の手編機はすべて緯編機である。最初の編機は1589年にイギリスの牧師リーWilliam Leeによって発明された足踏式の靴下編機(緯編)で,のち1775年には同じくイギリスで経編機が発明された。いずれも〈ひげ針spring beard needle〉を用いたものであったが,1849年にイギリスのタウンゼンドMatthew Townsendが〈べら針latch needle〉の特許を取得し,実用化にも成功して編機に大きな進歩をもたらした(フランスでは1803年に〈べら針〉の特許が取得されている。図1)。緯編の基本組織は平編,ゴム編,パール編で,〈べら針〉を使用する場合が多い。その編成方法の基本を図2に示す。最近では緯糸または経糸を挿入できる編機,またデザイン画と同じ色柄の編地を自動的につくる電子制御編機などがある。
執筆者:近田 淳雄
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報