改訂新版 世界大百科事典 「靴下編機」の意味・わかりやすい解説
靴下編機 (くつしたあみき)
hosiery knitting machine
イギリスのリーWilliam Leeが1589年に発明した足踏靴下編機が最初のもので,その後1864年にコットンWilliam Cottonがこれと同様な原理で多数の靴下を同時に編成する機械を考案し,その改良型が〈婦人用コットン式フルファッション靴下編機〉(縫い合わせると足の形になるように幅を変化させて平面状の編地を作るもの)として広く普及した。これは〈ひげ針〉による横編機で,日本でも1950年代にかなり使用された。一方,1857年にマクナリーが円形の靴下編機を発明して以来,このタイプも発展し,現在の靴下はほとんど〈べら針〉による円形靴下編機で作られ,コンピューターも利用されている。
ソックス用
昔は靴下の上端部を口ゴム編機で作り,これを靴下編機に移して平編みの靴下を作ったが,現在では伸縮性の大きい糸を用い,一つの機械で作る。また平編機のシリンダーを上下に二つ重ねて,ゴム編みもできるようにしたリブニッターが使用されている。ヒール(かかと),トウ(つま先)の形も自動的に編成するが,トウは別の装置で閉じる。
ストッキング用
1950年代に流行した横編みおよびトリコット方式のフルファッション靴下編機に代わり,60年代は円形靴下編機が主流を占め,シームレスストッキングの大量生産が始まった。その後ヒール,トウの部分も特別な編成を行わずに円筒状の編地を作り,熱セットで足の形を作るチューブラー編機が出現し,70年代にはパンティストッキングの時代に突入した。現在ではパンティ部も靴下編機で作り,左右のストッキングを同時に編成する機械,さらにトウも自動的に閉じる機械もある。
執筆者:近田 淳雄
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報