日本大百科全書(ニッポニカ) 「メンディサバル」の意味・わかりやすい解説
メンディサバル
めんでぃさばる
Juan Álvarez Mendizábal
(1790―1853)
スペインの政治家。ユダヤ系とされる商人の家系に生まれ、早くから商業に携わる。リエゴの蜂起(ほうき)に義勇兵として参加した自由主義者であったため、フェルナンド7世の反動政治が開始された1823年、イギリスに亡命した。ロンドンでも金融家として成功し、内乱にあったポルトガルの自由主義派を支援した。1835年にマリア・クリスティナ摂政(せっしょう)のもとで蔵相、ついで首相となる。その後も蔵相となって、教会修道院財産の国有化と売却、領主制の廃止、農地囲い込みの自由化などを進めた。その目的は、膨らんだ国家債務の清算、カルリスタ戦争(1833~39)により悪化する国家財政の立て直し、近代的土地所有制の導入であった。1843年にふたたび蔵相となったものの、1844年にナルバエスの保守的政権が誕生すると亡命、1847年に帰国、コルテス(議会)議員となったが、要職にはつかなかった。1853年11月にマドリードで死去。
[中塚次郎]