モルドビン

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

モルドビン
もるどびん
Mordvinian

ウラル系ボルガ・フィン語派のモルドビン語(エルジャ語とモクシャ語)を使用している、ロシア連邦内のモルドビン共和国の主要な住民で、北部に隣接してボルガ川中流地域に住んでいるマリ(チェレミス)人とは親近関係にある。モルドバ人Mordváともよばれる。13世紀初めのロシアの記録では、かつて北のブルガス、南部のプレシュの2人の指導者のもとにそれぞれがエルジャ、モクシャの2方言に分かれたとされているが、今日では別な対ロシア語辞書がつくられているほどその方言差は大きい。森林地帯を除くと居住地の大半は可耕地であり、豆類、キャベツ、ジャガイモ、ホップ、タバコなどの農作物や、亜麻(あま)油の生産も行われてきた。16世紀以来、農奴に近い小作民としてロシア人に隷属し、帝政時代には出版物は初等教育や宗教関係のものに限られ、ロシア語での文法書以外には、最初のエルジャ語の祈祷(きとう)書が19世紀初めにモスクワで発行されているだけである。ソ連時代には自治共和国となり、ロシア連邦では、連邦内の共和国となった。両方言ともに文章語や正書法もほぼ決まって辞書もつくられ、作家たちも活躍している。首都サランスクにはモルドビン言語学、文学、歴史学、経済学各研究所が設置されて研究成果も刊行されるようになった。

[菊川 丞]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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