ブルガリア東部、ブルガス県の県都。黒海沿岸の中部に位置する工業都市で、同国最大の港湾をもつ。市の北西部には温泉が湧出(ゆうしゅつ)し、ソゾポルSozopol、ネセバルNesebǎr、スランチェフ・ブリャクSlanchev brjag(サニー・ビーチ)などの黒海沿岸リゾートの拠点でもある。ソフィア―プロブディフ―ブルガス線の鉄道の終点で、空港も備える。人口20万9479(2001)。中世の漁港から発展し、17世紀後半には、木材と塩の貿易で栄えた。1878年のオスマン帝国からの独立後、この地のトルコ系、ギリシア系住民が流出したが、山間部やオスマン帝国領の東トラキアからブルガリア人が移住し、1912~13年のバルカン戦争や第一次世界大戦時には、難民が大量に流入して、人口が急激に拡大した。1890年に鉄道が敷かれて首都ソフィアと結ばれ、20世紀に入ると港湾整備に伴って、機械、食品工業が勃興(ぼっこう)した。社会主義時代には大規模な石油化学コンビナートが建設され、市の産業の中心を担った。市内には、イコンを集めた美術館や歴史博物館、また大学もある。
[寺島憲治]
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